
アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。
番外編は、通常の原稿が何らかの理由で間に合わなかったときの保険でございます。アニメに直接関係しないですが、このコラムを書いているエンタープライズ山田のことについて、書いておこうかなと。
ライターではなく編集者として
こうして自分のことを自分で書くというのは、嫌いではないのですが、あんまり率先してやってこなかったんですね。こういう番外編で、たまにはいいかなというところです。
このSWAMP(スワンプ)というメディアの編集長は、加藤真大という人間でして、かく記しているエンタープライズ山田は、加藤のこのメディアでのペンネームなんですね。
このあたり、第22回のコラムでも書いていますが、富野監督が自作で画コンテを切る際のペンネーム「斧谷稔」的なものに憧れてつけたという側面と、編集業とライティング業は別物として切り離したいという想いがあります。
同業者の方ならお察しいただけると思いますが、編集者の仕事は、本当に一般の方に理解されにくい業種の1つです。
映像の編集と勘違いされたり、雑誌はともかく、WEBメディア編集と言っても、横文字が通じないご年配の親戚には通じません。
そもそも、編集者は100人いたら100人とも似て非なる仕事をしている業種なので、同業者であっても、仕事の全容を共有できることがなかったりします。
僕は雑誌編集上がりなので、マンガ編集や小説編集、単行本編集のように作家とマンツーマンで付き合うということはあまりなくて、ひたすらに媒体と記事に向き合うことが多かったんですね。
アニメやゲームの専門誌で媒体に向き合うということは、作品に向き合うということなので、10年近く、役割や細かい仕事は変われどやっていることの大元は同じ。
そんな中、下積みの編集補助というアルバイトから、フリーの編集ライターになった際、直属の部長からこういわれたことが、未だに残っています。
「どの雑誌をやっていても、根本は同じだから、仕事を覚えればどこでも通用するよ」
細かいことをいうと、フリーになってそれまでメインにしていた雑誌とは違う部署に就くことになったので、こういわれたのですが、出版社を出て独立したあとだと、本当に身に沁みます。
雑誌の編集テクニックで培ったノウハウを活かして、これまでさまざまなメディアの立ち上げをしたり、ライターとしてスポットで書いて糊口をしのぐことが出来ているのですね。物を書いて飯が食べられる程度には、通用しているのです。
と、いう前置きなんですが、編集者としてライターさんと記事を作っていくことと、ライターとして編集者と記事を作ることは、立ち位置が違うだけでなく、作業や請け負う範囲が随分と違うんです。
向き不向きというレベルの考えから、最近1年くらい悩んで出た結論は、「最終編集権(ファイナルカット)」を持っているかどうか。これはどちらかというと映画の世界で重要な概念なんですが、このあたりもうちょっと書きたいので、次の番外編で続きを書きしたためたいと思います。