
アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。
前回に続いてアニメOPのお話しです。今回は、アニメOPを語るなら、否、アニメを語るなら絶対に外せないアニメーター・金田伊功さん。
金田さんのアニメーションの心地よさ
物凄くシンプルに、アニメーションの魅力とは何かと言うと、1つに動きの心地よさがあります。感覚的には快感と言ってもいいのですが、心地よさと書きたい。
観ているだけで、絵の動きに心が沸き立ち、「カッコいい」とか「すげー!」と思えるアニメーション。
そんな作画が出来るアニメーターの人は数少ないのですが、金田伊功(かなだよしのり)さんは、その筆頭とも言える存在です。
いちアニメ好きという立場だけで言うと、金田さんを知っているかどうかで、もうその人のアニメに対する興味や熱意というものがはかれるんですね。
このコラムでここまで書いてなかった僕も僕ですが、改めてそういう方がいて、素晴らしい作品を残していったのだということを書いていこうと思いました。
2009年に亡くなられるまで、メジャー作品で言えば、りんたろう監督の劇場版『銀河鉄道999』、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』などの劇場大作に参加。
富野喜幸(現・由悠季)総監督のTVアニメ『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』の参加回も、アニメファンの中で伝説として残っています。
ちょっと前置きが長くなったので、金田さんの紹介はこの辺りにして、本題のOPです。
何と言っても、『銀河旋風ブライガー』の躍動感あるアニメートが最高なんですよね。アニメのOPは曲とアニメ、そして作品の世界観のすべてが1つになって初めて真価があると思っていますが、最高峰のアニメOPの1つが『銀河旋風ブライガー』。僕は何百回観たのか覚えていませんが、金田さんがどういうアニメーションを描くのかは、まずはこれを観てからというところ。
個人的に好きなのは、ジャンプ作品なので有名ですが『とっても!ラッキーマン』。金田さんはキャラクターデザインも務めていますが、注目は第2OP。
ラッキーマンたちと対峙する世直しマンはじめ、お手手戦隊指レンジャーが登場し、これでもかと画面を飛び回るダイナミズムを体感できます。あと地味に冒頭で出てくるカモメがUFOにメタモルフォーゼしているのも、ポイント高いですよね。
もちろん、『機甲創世記モスピーダ』や高橋良輔監督版の『サイボーグ009』のOPも捨てがたいですし、一部原画のみですが、『超電磁マシーン ボルテスV』も良い。冒頭のスカールークに向かう5人のカットでしょうか。
やっぱりアニメーションの根本的な魅力は、想像力を刺激する動きの魅力であり、そして音楽や効果音と合わさった映像としての魅力だと、改めて観直してみると実感します。