隠れた名所「珍宝館」と怒涛の渋川清彦year

 

――『榎田貿易堂』の好きなロケ地ってどこですか?

 

渋川:いっぱいありますよ!

 

――「珍宝館」も伊香保温泉に本当にあるんですか?

 

渋川:本当にあるんですよ!

 

――あのロケ場所はすごいですね~。

 

渋川:本当にすごいんですよ!!

 

――ちなみに渋川さんは、いつ「珍宝館」を知ったんですか?

 

渋川:高校生の時。当時、地元の群馬テレビで土曜の夜11時過ぎだったか「ミッドナイトかわら版」っていう、ちょっとエロい番組の放送があって、それを隠れて観ていたんですよ。

 

――ははは(笑)

 

渋川:それによく「珍宝館」が出ていたんです。この映画にも登場する館長さんが、いわゆる名物館長で、その名も「ちん子さん」って言うんですよ!

 

――えぇ!?

 

渋川:いや、ホントに。あの人ね、当時から来ているお客さんの股間を必ず触るんですよね。それが名物なんだけど、俺の知っている限りでは、もう30年以上続いているんですよ!

 

――すごいですね。

 

渋川:地元の友だちが繋いでくれるっていうから頼んでみたら、ロケ地として貸してくれることになって。「あそこはもう絶対、映画に出した方がいい!」って監督に提案したら、監督も面白がってのってくれて。

 

――へぇ~。「珍宝館」は渋川さんの提案だったんですね!

 

 

渋川:もう、凄いですよ。あの館長、余(貴美子)さんの股間も触っていましたから。男も女も関係なく触るんですよ!

 

――それ、書いても大丈夫ですか(笑)?

 

渋川:まぁ、良いんじゃないですか? あとね、「珍宝館」の凄いところは、いわゆる一般的な「秘宝館」とは違って、全然いやらしい感じじゃないんですよ。

 

――というと?

 

渋川:全部白い光なんですよ。館長は春画もすべて美術品だと思っているから、ピンクのネオンじゃなくて、蛍光灯の下に晒しているんです。

 

――となると、ひょっとしてあの秘密の小部屋も……?

 

渋川:さすがに秘密の小部屋はないです! でもあの館長さん、本当に凄いんですよ。

 

――たしかに「珍宝館」が出てくることで、この映画のオリジナリティが高まっていますよね。下ネタもちょこちょこ出てきますけど、あんまりいやらしい感じじゃなくて、日常生活の中に普通にあることとして描かれているから。

 

渋川:そうですね。まぁ、凄い根本的なことを言えば、ああいうことがあるから、俺たちが生まれているわけですからね。

 

――ちゃんと、「なかったこと」にしていないのがいいですよね。主婦がレンタルビデオ店で『ベティ・ブルー』を手に取って、「何歳だよ!」って自分にツッコミ入れて一度は棚に返すけど、結局また戻ってきて借りちゃうみたいな。

 

渋川:あははは! そういうのが、飯塚監督の視点の面白いところですよね。

 

――そう。変に気取らずに、ああいうことを故郷を舞台に撮れるっていうのは、さすが大人の余裕というか。もしまだ若くて肩に力が入っていたら、逆にもっと格好よくしたくなってしまうというか、そういうのがどこかにじみ出てしまう気がするんですよ。

 

渋川:うん、うん。

 

 

――そういう意味では『榎田貿易堂』は、あの榎田の徹底した格好悪さというか、「格好悪いんだけど、格好いい!」っていうリアルさが響く作品でもありますよね。

 

渋川:そうかもしれないですね。

 

――映画の中では20代から50代までの登場人物たちの、それぞれの年代特有のリアルな悩みが描かれていますが、その真ん中にいるのが40代の榎田っていうのが、大きな特徴であるともいえるわけで。

 

渋川:そう言われてみると、あんまり40代の男が主役の映画ってないですからね。

 

――そもそもオリジナル脚本自体、珍しいとも言えますし。

 

渋川:そうですね。そういう意味では、この前もすごく良い機会に恵まれて。先日、阪本順治監督の『半世界』っていう作品に呼んで頂いたのですが、それも42~43才くらいの地方に居る男たちの話なんです。稲垣吾郎さんと長谷川博己くんと俺の3人で、伊勢志摩っていうところで撮影していたんですけど、それも阪本監督のオリジナルでした。

 

――オリジナル脚本の作品に立て続けに出られるって、凄いことですよね。

 

渋川:そうなんですよ。凄いラッキーですよ。

 

――それにしても、ここ最近の渋川さんの活躍ぶりは本当に目覚ましいですよね。『ルームロンダリング』の津軽弁のパンクスもめちゃくちゃハマり役で。先日、主演の池田エライザさんにもインタビューしてきたんですが、「KEEさんが津軽弁を一生懸命覚えていた!」って話されていました。

 

渋川:あれは、めちゃくちゃ練習しましたね。片桐監督もずっと昔から知っていて、素の俺に役柄を寄せてくれている感じはしました。

 

――過去には、「黒猫チェルシー」の渡辺大知さんが監督された『モーターズ』でも主演を務められていますが、ご自分が演じる役柄には、割と一貫性がある方だと思われますか?

 

渋川:まぁ、根本的に俺が持っているベース自体がグダグダしているんですよ。

 

――でも、グダグダ以外もありますよね。瀬々敬久監督の『菊とギロチン』では女相撲の親方ですし、豊田利晃監督の最新作『泣き虫しょったんの奇跡』で演じた役柄も、全然違いますよ。カラオケの熱唱シーンもありますし。

 

渋川:『菊とギロチン』も『泣き虫しょったんの奇跡』も俺、大好きなんですよ。

 

――石井岳龍監督の『パンク侍、斬られて候』も控えていますし。先日シネマート新宿で爆音の『ソレダケ / that's it』も拝見したんですが、あの体験はそう簡単に忘れられなさそうです。

 

渋川:あれはね、もう映画を「観る」というより「体験する」って感じだからね。痺れますよね。

 

――こういった素晴らしい作品の数々に渋川さんが立て続けに出られているっていうのは、ご自身としては選んできたつもりはないのかもしれないですけど、「KEEさんにやってほしい」って言われる役を、ずっとやってきて辿り着いた境地ともいえますよね。

 

渋川:うん。よかったですよね。

 

――映画と並行してドラマにもコンスタントに出演されていますが、ご自身の中では映画とドラマで演じる際に違いを意識されていますか?

 

渋川:ドラマはドラマで面白い人もいるし、そこで「まぁ、これくらいでいいか」って手を抜いちゃうと、結局自分がダメになるんです。

 

――きっとそれって、観ている人にも伝わりますからね。

 

渋川:わかりますよね。

 

 

――そういう意味でも、『榎田貿易堂』は「怒涛の渋川清彦year」の中心的な作品として位置付けられるわけですよね。

 

渋川:そうですね。今年はなかなかタイミングが良かったですよね。1998年公開の『ポルノスター』で役者を始めてから、ちょうど今年で丸20年なんですよ。

 

――そんな記念すべき節目の年の6月から7月にかけて、ほぼ毎週舞台挨拶に登壇するなんて、予めシナリオが用意されていたみたいですよね。

 

渋川:なんかラッキーですよね(笑)。

 

――これからもきっと、目の前にある球を打ち続けていかれるとは思うのですが、やはりその時々のご自身の置かれている環境も、演じる役に影響したりしますか?

 

渋川:しますね!

 

――先日の『ソレダケ / that's it』のトークイベントの際にも、お子さんの話をされていたりもして、また新たな境地に進まれるのかなと思ったり。

 

渋川:そうですね。子どものことは気になりますけど、そんなに変わんないかなぁ。榎田じゃないですけど、自分のペースで出来れば。あんまり忙しいのも好きではないので。

 

――今後のご活躍も楽しみにしています!

 

渋川:頑張ります! あとは、逮捕されないようにしなくちゃね(笑)。

 

――え……!?  まぁ、たしかにこのご時世、どこに罠が仕掛けられているかわからないですからね。榎田みたいに(笑)。

 

渋川:そうそう。榎田みたいに、思わぬ事件に巻き込まれないように、気を付けないといけないね(笑)

 

 

ユーモアたっぷりの渋川さんのインタビュー、いかがでしたか?

 

取材後、写真撮影をしながら長年知りたかった「KEE」から「渋川清彦」に改名した理由を訊ねてみると、思いがけない答えが返ってきました。

 

「ちょうど30歳の時に区切りを付ける感じで変えたんです。本名の『田中清彦』じゃ普通だし、せっかくなら地元の『渋川』にしようかって。あとは、ちょうどその頃、渥美清さんにハマっていて。渥美さんの『渥』も『サンズイ』だし『清』も『サンズイ』だから、俺も『サンズイ』の『渋』に『清彦』の『清』で、同じにしようって思いましたね」

 

なんと「渋川清彦」の芸名の由来が「渥美清」にあったとは! また機会があれば、渋川さんの語る「渥美清論」を伺ってみたくなりました。

 

皆さんも「怒涛の渋川清彦year」の勢いを、ぜひ劇場で体感してみてくださいね。

 

『榎田貿易堂』概要

 

『榎田貿易堂』

 

配給:アルゴ・ピクチャーズ

出演:渋川清彦 森岡龍 伊藤沙莉 / 滝藤賢一

宮本なつ 渡邊蒼 三浦俊輔 駒木根隆介 キンタカオ 金子昌弘 諏訪太朗

片岡礼子 根岸季衣 余貴美子

 

監督・脚本・編集:飯塚健

エグゼクティブプロデューサー:狩野善則  ゼネラルプロデューサー:田中和磨

プロデューサー:柴原祐一  アソシエイトプロデューサー:古川一博

音楽:海田庄吾  撮影:山崎裕典  照明:岩切弘治  録音:藤林繁  美術:吉田敬  美術進行:佐々木伸夫  編集:木村悦子

衣装:白石敦子  ヘアメイク:内城千栄子  スクリプター:石川愛子  音響効果:松浦大樹  助監督:杉岡知哉

ラインプロデューサー:川島正規

エンディング曲:「ハロー」奥野涼  後援:上毛新聞社  群馬テレビ  エフエム群馬

特別協力:渋川市  渋川伊香保温泉観光協会  群馬県立渋川高等学校同窓会  JA北群渋川

協力:渋川伊香保温泉フィルムコミッション  高崎フィルムコミッション  製作:映画「榎田貿易堂」製作委員会  企画:Breath

 

2017/HD/カラー/5.1ch/日本/110分】

 

6月9日(土)より新宿武蔵野館ほか全国公開

 

公式サイト:https://enokida-bouekido.com/

 

 

©2017映画「榎田貿易堂」製作委員会

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