また、菊地さんは『ザ・スクエア~』について、「自らもモダンアーティストであるオストルンド監督が、モダンアートの裏側を素材として、映画に取り入れたこと」こそ、画期的であると指摘。

 

というのも、オストルンド監督は、本作を製作する以前から実際に友人と「スクエア」と名付けたアート作品を街中で展開していて、その経験を基に本作が誕生した、という経緯があるからなんです。

 

それゆえ「部屋に砂だけ積んで、すごいお金がもらえる『モダンアート』ってどうなのよ!?」という、心の底では誰もが疑問に感じながらも、絶対に口にしてはいけないとされることに関して、まさに『ザ・スクエア~』は「モンティ・パイソン的に回答されている映画」であると分析されたというわけです。

 

そんな菊地さんの鋭い指摘を受けて、監督からまたしても興味深い裏話が披露されます。

 

映画の中には、「三角錐の形に積んだ砂山を整然と複数並べただけ」という、いかにもな現代アート作品が登場するのですが、あろうことか、清掃係が作品の一部を掃除機で吸い込んでしまった! という衝撃的なエピソードが描かれます。

 

監督曰く「実はあのシーンはボローニャの現代美術館で実際に起こったことを基にしているんです。それは、タバコの吸い殻と古いシャンパングラスが床に置いてあるという作品だったんですが、清掃係の方がゴミだと思って片づけてしまった。問題は、その作品に500万ユーロくらいの保険がかかっていたことなんです」

 

映画の中ではとっても笑えるシーンなのですが、実際にはとても笑ってなどいられない、大事件だったというから驚きです。

 

 

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