その後、司会進行の森さんから「この映画のなかで我々が知っているものがあるとしたら?」という問いかけに、すかさず「セブンイレブンですね!」と菊地さんが答えて会場の笑いを誘いつつ、トークは本作の大きなテーマのひとつである「傍観者効果」の話題に。

 

「我々日本人は、『傍観者効果』というものに関して、もはや何の問題意識も持たないほど、『傍観者効果』をこじらせている。我々はおそらく罪の意識がすごく低いんだと思う。そういった意味でも、この映画は『傍観者効果』についてすごく知的に扱っている」と語る菊地さんに対し、「私は社会学が大事だと思っているんです」と応じたオストルンド監督。

 

監督:私は自分の映画すべてに対して、社会学的なアプローチをとっています。それは、人間行動を研究するということ。社会学というのは、人間が失敗したときに、その人に罪を擦り付けるのではなく、むしろそこに興味を持つんです。つまり「あぁ、私たちはこういうことができないんだ」と認識し、そこから知識を得るということなんです。

 

一方、メディアにおいては、何か問題が起きると、誰か一人に罪を擦り付けるという傾向がある。そういった意味で、『人間行動を研究する』という社会学的なアプローチが、いまとても必要とされていると思います

 

と解説し、「私たちは皆、良いことをする可能性もあれば、悪いことをする可能性もあるから」といった理由で「ハリウッド映画の定番ともいえる『勧善懲悪的な世界』には同意しない」としながらも、さらに自ら脚本を書くときに心がけていることとして、「あえてジレンマがある状況の主人公を探して、そこに陥れる」と告白。

 

「困難な状況を作ることで、観ている人が『あぁ、自分でもきっと、こういう風にやっちゃうな』と、ちょっと恥ずかしく感じる。登場人物の行動に対して監督である私自身が共感できなければ、その作品は失敗だと思います」と教えてくれました。

 

 

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