5月19日(土)から公開中の沖田修一監督最新作『モリのいる場所』。SWAMP(スワンプ)では、先日レポートした完成披露試写会につづき、音楽を担当された牛尾憲輔さんに単独インタビューを敢行!

 

『リズと青い鳥』の特集を担当したSWAMP編集長と共に、アニメと実写作品の音楽の付け方の違いから、『モリのいる場所』での沖田監督との言葉を超越したカンバセーション、そして牛尾さんが憧れるヒーローのお話まで、じっくりと伺ってきました。前・後篇の2回に分けて、たっぷりとお届けします!

アニメと電撃ブランドの思い出と実写映画

 

SWAMP編集長・加藤(以下、加藤):SWAMPでは『リズと青い鳥』の記事を大々的に扱っているんです。牛尾さんは『モリのいる場所』だけでなく『リズと青い鳥』の音楽も担当されていますよね。牛尾さんは、アニメと実写映画の世界を横断的に活躍されている、というところに焦点を当てながら、本日はお話を伺えればと思っています。

 

牛尾憲輔(以下、牛尾):ありがとうございます。宜しくお願いいたします。

 

加藤:牛尾さんの過去のインタビューを拝見したところ、牛尾さんはアニメ好きでいらっしゃるということで、挙げている好きなアニメのなかに『ココロ図書館』※1 という作品があって、「この作品を挙げるなんて、濃いアニメファンの方なんだな」と思っていまして。

 

※1 2001年に放送されたTVアニメ。監督は舛成孝二(ますなりこうじ)。とある山の中にある図書館で司書を務める3姉妹を描いたハートフルな作品だ。原作は「月刊コミック電撃大王」に連載されていた。

 

牛尾:ははは(笑)。地元のオタク友だちと、年に1回『ココロ図書館』の1話だけ観てみんなで泣く、っていうのをやっていて。

 

加藤:今日のインタビューにあたって、僕も久しぶりに観返してみたんですけど、1話の音楽の使い方といい、心温まるエピソードといい……

 

牛尾:泣いちゃうんですよね!

 

加藤:もう、泣きますね。牛尾さんの場合、やっぱり音楽的な観点から観られているんですか? それともお話として?

 

牛尾:あ、お話ですね。僕、よく言われるんですけど、アニメの音楽って実は全然わからなくて。アニメのお話しの思い出と一緒になっているんです。

 

加藤:あのハートフルな。

 

牛尾:そうですね。あ、でも『ココロ図書館』は保刈久明さんの劇伴がすごく好きだったのは覚えてますね。唯一、『ココロ図書館』と『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』ぐらいですね。

 

加藤:電撃のあの頃の作品ですね。

 

牛尾:そうですね。

 

加藤:実は僕、もともと電撃に居たんですよ。

 

牛尾:えぇ!? そうなんですか?

 

加藤:「電撃G's magazine」の編集などをしていたんですが、『ブギーポップは笑わない』や『シスター・プリンセス』とかが好きで入って。

 

牛尾:そうなんですね。高校生の時は、G'sの傷のついていない西又葵さんの(描かれた)表紙を探して買っていました。

 

加藤:本当ですか?

 

牛尾:西又さんって、表紙やっていましたよね?

 

加藤:やられています。鈴平ひろさんと一緒にやられていた『マリッジロワイヤル』※2 などがありましたね。

 

※2西又葵さんは数多くの美少女ゲームのキャラクターデザインを担当されており、『マリッジロワイヤル』は「電撃G's magazine」で連載されていた読者参加型企画だ。

 

牛尾:本屋さんで一冊ずつチェックして、一番傷のないのを「これだ!」って。

 

加藤:僕も中高生のときは、毎月「電撃G's magazine」を買いにゲーマーズに行くっていうのを生業にしていましたので(笑)

 

牛尾:僕もそういう感じです。今や昔ですけどね。

 

 

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