『山田孝之の東京都北区赤羽』や『山田孝之のカンヌ映画祭』などで俳優の山田孝之さんと絶妙なコンビネーションを見せた山下敦弘監督の最新作『ハード・コア』が、11月23日(金・祝)より全国公開されます。

 

本作は90年代にマンガ雑誌「グランドチャンピオン」で連載され、多くの読者の共感を呼んだ伝説のコミック『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』(作:狩撫麻礼、画:いましろたかし)を、山下監督と山田孝之さんのたっての希望により実写映画化。謎のロボット「ロボオ」と、不器用ながらも真っすぐ生きる男たちのアツい人生活劇です。

 

このたびSWAMP(スワンプ)では、20年近く前から原作コミックを愛読していたという山下監督と、10年越しの念願が叶い牛山役で山下組に初参加された、俳優の荒川良々さんにインタビューを行いました。「ロボオ」への愛あふれるお2人の爆笑トークを、最後までごゆっくりお楽しみください。

 

『ハード・コア』が実際に映画になるまで

 

——「男くさい映画」という触れ込みで拝見したのですが、ロボオの可愛さにノックアウトされました!

 

荒川良々(以下、荒川):あら〜!

 

——女子はもれなくロボオに食いつくと思います。

 

山下敦弘監督(以下、山下):ははは(笑)。

 

——そもそもこの企画の発端は、10年くらい前に遡るそうですね。居酒屋で「『ハード・コア』を映画化するなら牛山は俺がやる!」と荒川さんが立候補されたとか。

 

荒川:多分、当時調子に乗ってたんでしょうね。

 

山下:でも、言われてみれば「あ、そうだ荒川さんだ!」と思いましたけどね。

 

——見た目がですか?

 

荒川:まぁ、そうでしょう。右近、左近じゃないですからね(笑)。

 

山下:「牛山がいた!」っていう感じでしたけどね。その時は右近、左近は誰がいいのか全く分からなかったですけど(笑)。

 

——10年越しに夢が叶い、撮ることが決まった時の感想は?

 

荒川:まさか実現するとは思っていなかったので凄くうれしかったですし、初めて山下組に参加できたという意味でも感慨深かったですね。10年前にドラマ『週刊真木よう子』の企画として、山下監督がいましろさん原作の『中野の友人』を実写化されていたんです。その流れで「『ハード・コア』僕も好きなんですけど、もし映画化するんだったら牛山に立候補したいです」みたいなことを話したような記憶がありますね。

 

山下:でもいざ撮ろうとしたら、周りから「なんで今更やるの?」ってスゲー言われました(笑)。

 

——そもそも企画が成立した経緯は、本作でプロデューサーも務めた山田孝之さんと意気投合されたのが大きかったそうですね。

 

 

山下:山田君と一緒に組んだ短篇映画『BUNGO〜ささやかな欲望〜』の初号試写のあと、喫茶店でなぜか『ハード・コア』の話題で盛り上がって、そこで一気に距離が縮まった気がしたんです。

 

荒川:「なんだ、君も(ハード・コアが)好きなんだ!」って(笑)。

 

山下:そうそう。現場中は結構緊張感があったんですけれど、その時に「なんだよ。もっと早く言ってくれよ」みたいな感じになって、ようやく打ち解けられたんですよ。「『ハード・コア』って、意外とみんな読んでるんだな」と思って、この10年くらい『ハード・コア』を知っているかどうかをリトマス試験紙代わりにしていたところもあるんですが、結局俳優さんの中で「好きだ」と公言しているのは荒川さんと山田君だけでしたね(笑)。

 

——ははは(笑)。

 

山下:具体的に企画が動き出したのは、今から5〜6年前に遡ります。のちに本作でラインプロデューサーを務めることになる原田耕治さんが、狩撫&いましろコンビの『タコポン』のドラマ化を僕に勧めてくださって「それなら、ぜひこっちを読んでみてください!」と僕が差し出したのが『ハード・コア』だったんです。

 

荒川:まさか『タコポン』を提案されていたとは……!『ハード・コア』よりもっと大変だったんじゃないすか?

 

山下:そう。あれも結構、特殊な作品だからね(笑)。

 

 

■次ページ:ロボオと牛山の撮影秘話

 

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