
アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。
前回に引き続き、「セル」アニメを掘り下げます。
いまでは新作で「セル」アニメを見ることはなくなってしまったわけですが、やはり往年のアニメファンとしては、「セル」の魅力というものを語り継いでいきたいのです(コラムを書いているSWAMPER・エンタープライズ山田は平成生まれですが)。
「セル」の美しさだけで判断したアニメTOP3!
アニメを楽しむ基準はたくさんあります。今だったら、声優やアニソン、ストーリーなどが主流ですが、演出や作画、美術に撮影にこだわってアニメを楽しむのも、また乙なもの。
今回はかなり限定的ではありますが、「セル」の美しさだけで選んだエンタープライズ山田のアニメTOP3をご紹介。「セル」の美しさって何ぞ? という声も聞こえてくると思いますが、この際無視して進めます!
第3位『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』1984年公開
画像出典:http://images-jp.amazon.com/images/P/B015I9N0EU.jpg
現在も新作シリーズが作られている、『マクロス』シリーズの原点の1つ。TV版の板野サーカス回も素晴らしいのですが、「セル」の美しさという点では、劇場版をあげます。この作品における美しさは、1つに描きこみ量の多さ。特に終盤のミンメイの歌が流れる中、ボドルザー艦隊と戦闘を行うシーンの描きこみは、必見もの。
ストーリー的にもブリタイが歌に感応するあたりからマックスになるわけですが、このあたりの「セル」のテンションの高さも見ごたえバッチリです。作画・彩色・撮影がすべてクライマックスを盛り上げるべく最高潮の出来になっており、直立するマクロスは、ぜひとも劇場で観たいところですね。このマクロスの「セル」、お金で買えるのならば10万は出しても欲しいと思っています。
第2位『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』1988年公開
画像出典:http://images-jp.amazon.com/images/P/B004TOB56G.jpg
「セル」アニメなので、やはり少し古めの作品がランクイン。1980年代は、アニメ界全体的にこってりとした絵作りがされていましたが、その中でこの洗練されたキャラとメカデザイン、そしてアクシズ落としをめぐる宙感戦闘の美しいこと美しいこと!
仙波作画監督らが描いたビームライフルやファンネルのビーム粒子の美しさは特筆ものです。特にνガンダムのビームライフル! SEも相成って最高にカッコいいですね。ガンダムとかサザビーとかキャラも捨てがたいのですが、1枚だけ劇中使用「セル」がもらえるのなら、νガンダム実戦初登場時のビームライフルの粒子の「セル」が欲しいです。いや、ほんとに!
第1位『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』1998年公開
画像出典:http://images-jp.amazon.com/images/P/B000KEZPNI.jpg
90年代より、劇場版の『ナデシコ』です。これはもう、全編にわたって、究極極地の「セル」アニメと言っても過言ではないでしょう。時代の流れとしては、この時期からデジタルの技術が導入されているので、本格的な「セル」アニメの劇場作品が作られた最後の時代といえます。
作画的にも、後藤圭二さんの線の迫力が、そのまま画面に出ている奇跡的なクオリティの作品なのですが、やはりラピス・ラズリやルリのハッキングシーンの撮影処理も含めて、「セル」の美しさを感じる作品のTOPに挙げたいと思います。
版権イラストのノウハウが劇中に演出的にも落とし込まれている作品なので、1枚のセル画としてもずば抜けた芸術的価値があるのですが、1枚を「日本セルアニメ美術館」(もちろんそんな施設はありませんが)に飾るとするならば、やはりラストカットでしょうか。内容は言わずもがなですが、1000年先にも残したい、忘れ得ぬ何かが込められていると思うのです。
もちろん、『マクロス』シリーズであれば『マクロスプラス』も捨てがたいですし、『機動戦士ガンダム』第1話のビームサーベルをザクに突き立てる決めカットの「セル」も素晴らしい。TVアニメが入らないのは、今回の選別基準では、さすがに劇場との1カット1枚レベルでのクオリティの違いが明確なので、致し方ないですね。TVアニメ編もいずれまた。
>次コラム