
アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。
本日は試写で拝見した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』の感想です。
ルウム戦役の艦隊戦とガンダムの戦史
2015年公開の第1話から3年。安彦良和総監督が手がける『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が、第6話となる『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』で完結を迎えることに。
第4話までは、シャアにスポットが当たったドラマが展開するも、第5話と前後編的な位置づけになる第6話では、連邦軍とジオン軍、そしてアムロやセイラたち市民の偶像劇が描かれます。
第5話公開にあたって、別媒体で原作と総監督を務める安彦良和さんに取材をした際は、まだ映像化されていない『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』本編の制作にも意欲的でしたが、ひとたびシリーズとしては完結となる模様。その意気込みを直接聞いていただけに、残念な気持ちはありますが、制作が完全になくなったわけではないので、まずは本作を楽しみましょう。
冒頭からルウム戦役の艦隊戦が展開。第1話を観た時は、モビルスーツのCG表現では、安彦良和さんの絵の持つ線の表現が出来ないのではないかと思っていましたが、艦隊戦となると別ですね。
ある意味、この場面を描くために、CG技術が制作チーム内でも培われてきたのではないかと思いました。連邦のマゼラン級とジオンのムサイ級の艦隊の交錯と、そこに飛び交うザク。
『機動戦士ガンダム』の世界における戦史として知っていたルウム戦役を、劇場で体感できるだけで、ファンとしては大満足でした。
そのあとはレビルとデギンの政治劇が展開され、タイトルほどシャアが中心とはならないものの、ドラマ的にも見ごたえが。エンドロール後まで見逃さないように。
エンタープライズ山田は平成生まれなので、平成ガンダム以降が世代として直撃なのですが、当時発売されていた『ジージェネレーション』や『スーパーロボット大戦』といったゲームで、『機動戦士ガンダム』のストーリーはあらかた遺伝子に組み込まれ、2000年代にDVD化された際に、TVシリーズをまとめて観ていました。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』は、第6話という位置づけもそうですが、『機動戦士ガンダム』に至る1年戦争の戦史の知識があるかないかで、楽しみ方も変わってくる作品です。
そういう意味で、古くからのファン以外に入り込む余地が少なかったのは否めないところですが、第5話と第6話はCGの見どころも多く、物語も戦争をめぐる若者たちの普遍的な感情を描いています。
この「ルウム戦役編」だけでも、多くのガンダムファンに観てほしいですね。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』公式サイト
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』
5月5日(土)より、全国35館にて劇場上映(4週間限定)
配給:松竹
(C)創通・サンライズ