
アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。
アニメライターシリーズ第4回です。今回はアニメスタッフの方へインタビューを行う際のお話です。
アニメだけ観ていてはアニメに迫れない
アニメライターと聞くと、アニメに詳しくてアニメばかり観ている人、というイメージがあるかもしれませんが、アニメだけ観ていてアニメライターをやることは難しいと思います。
普通にアニメを観て楽しむ分には、まったく関係のない話しという前置きは入れますが、アニメ作りは映像を作るということなので、映像に関する知識が必要です。
カメラの種類、ライティングのつけかた、カット割り、音楽やSE。古今東西のあらゆる映画作品や撮影技術と合わせて、アニメならではの作画、彩色、背景、撮影、編集などの基本的な工程、作り方の知識が必要になります。
なぜならば、その知識と経験を最大限発揮して表現しているアニメスタッフに話を聞いて、そのアニメが生まれた背景や作り手の想いに迫るために、それらの前提がないと踏み込むも何も、お話にならないんですね。
面白かったあのアニメのシーンは、実はある映画に影響を受けている。それはテクニカルなことだったり、作品に対するスタンスだったりさまざまです。多くの作品は、そういった影響を受けつつ、新しいものが生まれていくもの。
もちろん、表面的なことはいくらでも書けるのですが、アニメの魅力は観るだけじゃなくて、作ること、語ることにもあるわけです。
ただ観て楽しむ以上に、アニメの魅力に迫りたい、より楽しみたいという動機で、アニメをお仕事にしている方々にお話を聞く以上、ある程度の知識を知っておく、調べるというのは敬意だと思うんですね。
アニメに限らず、多くの専門ライターがそうだと思うのですが、そういうことをプロになる前から自然とやっていた人が、そのままライターになったり編集者になるケースが雑誌時代は多かった。インターネット時代になって、簡単にパソコン上・スマホ上で表層的に楽しめるものが多くなりすぎて、深く追求するということ自体が、少なくなってきた印象です。
アニメの作り手に対しては、アニメの伝い手、というとちょっと大層ですが、そういう情熱をもってお話を聞きに行きたいですね。