
アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。
金田さん、大張さんの話をしていて、いったんこれを書いておいた方がいいかなという、前置きのようなアニメの観方のお話しです。
たくさんの楽しみ方があるアニメ
最近のアニメは総作画監督制の導入や、撮影でのエフェクト処理、3DCGの台頭などで、いわゆる作画監督ごとの個性、原画マンの個性というものを、TVアニメレベルでそこまで楽しめなくなっています。
アニメによっては、当たり回外れ回というレベルで違っていたものもありますが、たとえば『北斗の拳』などは、作画監督の個性が存分に楽しめたし(個人的には板野一郎さんの第49話が超絶オススメ。ただしそれまでの48話をちゃんと観ていないとドラマ的に楽しめないので注意)、原画マンの個性もアニメを観る楽しみだった時代がありました。
だからといって、全体的なクオリティレベルがあがった今の作品すべてを否定するわけでも、昔の作品はすべて名作だったわけでもないので、一緒くたにするつもりはありません。
大事なのは、アニメーターの個性、作画監督ごとに特徴が異なるキャラクターや、原画マンの動きの気持ちよさを楽しめる、知っているという視点があるかどうか。
アニメは物語も楽しめるし、声優の演技も楽しめるし、作画のカッコよさも楽しめる。音楽も良い、背景も良い。3DCGも良い。
画一的な狭い尺度だけを持っていては、楽しめる幅も狭くなってしまう。
僕がアニメをマニアックな視点で観始めて、かれこれ15年くらい多角的な観方を意識しているのですが、たくさんの楽しみ方が出来るアニメなんだから、もったいないなと思うんですよね。
とはいえ、作画がいいアニメを作画アニメというくくりにしたりする、僕らのようなマニアもまた、見方によっては画一的な評価しか出来ていなかったりするので、本当に自戒をこめてというところでしょうか。