皆さんごきげんよう、ライターの永田多加志です。

 

「年末年始はビールとともに!」 

 

……じゃなかった、『アニメ鑑賞はビールとともに!』も、本年はこれが最後の更新となります。

 

2019年を間近に控え、意識は早くも冬の新作アニメに向かいがち。しかしその前に、追い続けてきた秋期アニメ4本の総まとめを忘れてはいけません。もちろん、最終回まで観ていない方のために完全なネタバレは避けつつ、今回もビールが美味くなること請け合いな内容と魅力について語っていきましょう!

 

 

■前回の「アニメ鑑賞はビールとともに!」はこちら

 

アニメであってアニメでなかった意欲作! 電光超人版グリッドマンの登場でオマージュ精神極まる――『SSSS.GRIDMAN』

 

不朽の特撮番組をベースに、TVアニメとしてリニューアルさせた本作も最終回。終盤は、創造主たる新条アカネがままならない現状を前に、追い詰められていく展開となりました。また、ヒロイン・宝多六花たちこの世界の人間が怪獣から作られたことや、主人公・響裕太自身にグリッドマンが宿っていたことなど、新事実が次々と判明。最終戦は怪獣と化したアカネを飲み込んだ、黒幕のアレクシス・ケリヴとグリッドマンの一騎打ちとなります。

 

物語そのものは順当な結末ながら、驚嘆すべきはラストシーンの趣向! 最大のネタバレになるので明かせませんが、『SSSS.GRIDMAN』という作品は「アニメであってアニメでなかった」ことに気付かされるもの、とだけ言っておきましょう。ご覧になった方なら頷いてくれるのではと。

 

それにしても、大元になった特撮番組『電光超人グリッドマン』への愛にあふれていたなと、改めて思います。グリッドマンにまつわるスペックの多くが本作に踏襲されているのはもちろん、バトルシーンで用いられる特撮を意識したカメラワークやアクションスタイル。孤独な少女とそれ利用する黒幕という構造も、『電光超人グリッドマン』における少年・藤堂武史と魔王カーンデジファーの関係を彷彿とさせます。極めつけは最終回で、電光超人版そのものにデザインされた3Dグリッドマンをまったく同じポーズで登場される演出や、劇中曲として同作のOP「夢のヒーロー」まで流す大盤振る舞い! しかもこれらすべてが単なるオマージュに止まらず、驚嘆のラストへの布石となっているのですから、恐れ入ると言うほかありません。

 

とりわけ昨今のアニメでは、オマージュも奇抜な演出も珍しいことではなくなりました。しかし、オマージュの理由や演出の意味するところまで言及するものは、ほとんどないと思われます。「バトルシーンやライブシーンだけ3Dなのはどうして?」と聞かれても、画面映えするからとしか言えないわけです。しかし本作では、なぜここまでオマージュを徹底させたか、言わば似せて作ったかはラストシーンを見れば納得できます。

 

作品愛や箔だけでない、確固たる理由ありきのオマージュ。それを体現させたところに、最大の特徴があると言えるでしょう!

 

 

公式サイト:https://gridman.net/

 

春の笑顔が導く女子部の結束! 名残惜しさで続編が待たれる『ソラとウミのアイダ』

 

新米宇宙漁師候補生・空町春たち女子部6人の物語が最終回を迎えました。終盤はまさに怒涛の展開。候補生・櫻舞湖の兄に関する事故を揉み消した水産庁役人の正体が判明し、その人物が同じ候補生である薪真紀子の父親・新吾だったことから、女子部内で不協和音が生じてしまいます。責任を感じて真紀子が候補生を辞めると言い出す中、男性漁師2人が宇宙イケスの危険区で行方不明になったとの連絡が! 政府は彼ら2人を見捨てる公算が高い。かくして女子部6人が、救出に向かうことになります。

 

観ていない方のために問題のイケスでの顛末は伏せますが、特筆したいのはやはり春は主人公だったということです。そもそも春に突出した能力やパイプ役としての役割などといった、主人公らしい特性は見当たらず、あるとすれば能天気レベルの前向きさくらい。正直思いも寄りませんでしたが、前向き、すなわちツラさに負けず笑顔でいられることこそが、彼女の主人公たる所以でした。

 

未熟な候補生たちが危険な場所に、それも政府に逆らって向かうかどうかで揉める中、「やっぱ行くっきゃないっしょ」とあっけらかんと言った春の笑顔。まもなくそれは、不幸な生い立ちにも負けなかった強さの表れとわかり、ほかの候補生たちを奮い立たせるきっかけとなります。市役所の職員や缶詰工場の女性社員、果ては仇敵であるはずの新吾までもが6人に協力してくれる熱い展開も、春が端緒を開けばこそでしょう。

 

そして皆の思いを乗せて打ち上がったロケットの中で、春が見せた決意の表情。あぁ大丈夫だな、と感じた次の瞬間、やられたと思いましたね。これまでハラハラ感ばかりだった女子部に、確かな安心感を覚えたという事実! 「6人の成長を描いた物語」という本作の看板に、偽りはなかったようです。

 

放送が終わっての感想といえば、名残惜しいの一言に尽きます。他作品ならキャラ萌えや物語の面白さが視聴の理由になるところを、心配で目を離せないから観続けて、思い入れが強まったところでエンディングという残念さ。女子部の結束もようやく確固としたものになり、むしろここからがスタートとも言えます。その意味でもアニメ2期目があることを、願わずにはいられません!

 

公式サイト:http://soraumi-anime.com/

 

ブタ野郎に花束を! 「妹」との別れを越えて、少年は現実と向き合っていく――『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

 

若さゆえのあやうい感情が引き起こす不可思議現象「思春期症候群」をフックに、ビターな青春模様を描いた本作。終盤はブタ野郎こと梓川咲太と、その「妹」であるかえでにまつわるエピソードがメインになりました。

 

かえでの本名は花楓(かえで)なのですが、かつて彼女がイジメを受けた影響で解離性障害を発症。記憶を失った別人格として現れるのが、平仮名表記のかえでというわけです。彼女は咲太と2人で暮らす中で明るさを取り戻し、引きこもり脱却を決意。学校に戻ることを目標に小さな努力を重ねていきますが、花楓の人格が戻ったことで突然の消滅を迎えます。

 

何がツラいかって、この胸をえぐるような一連の流れ! なまじかえでがオタク心をくすぐる萌えキャラであるため、目覚めた花楓のリアルな言動が追い打ちをかけます。あまりの落差に、もたらされる喪失感が半端じゃないわけですね。と、同時に気付かされるのは、そんな別れの哀しみを咲太の両親も味わっていたかもしれないということ。しかし、母親は花楓の別人格を受け入れられず精神を病み、父親はかえでのことを咲太に丸投げ状態でした。結果、いかに兄とはいえ、咲太ひとりが悲哀を背負い込んでしまうわけです。花楓が元に戻って喜びにむせび泣く父親と、消えたかえでを想って人目もはばからず慟哭する咲太。この皮肉な対比は、痛切に視聴者の胸を打つことでしょう。

 

改めて振り返れば、魅力的で愛すべきヒロインが多数登場する中にあって、一番感情移入したのが主人公の男という珍しい体験をしました。特にハーレム構造を持ったアニメでは、主人公のモテモテぶりが当人の不幸要素を吹き飛ばしてしまい、同情はまだしも共感を覚えることはほとんどありません。とはいえ咲太に対する好感は、凡百の主人公に対するカウンターとも違います。背中を押してくれる人がいたとはいえ、かえでとの別れを体験した翌日には気持ちを立て替え、ジョーク混じりのトークを再開できる精神的タフさ!

 

ゆっくり落ち込む余裕もない現代社会を生きる者にとって、さながら福音のように映ります。彼の姿に勇気付けられた視聴者も少なくないでしょう。

 

……それにしてもというか、だからこそというか。思ってしまうわけですよ、恋人・桜島麻衣とのラストシーンにおけるアレ。咲太はもう少しいい思いをしてもいいのでは、と。

 

 

公式サイト:http://www.ten-sura.com/

 

明かされるつばめの過去とミーシャの本意――感動の最終回が意外すぎる!『うちのメイドがウザすぎる!』

 

ロシア系幼女・高梨ミーシャと彼女を愛する変態家政婦・鴨居つばめたちが紡ぐ、「ほっこりしない系?」を謳うホームコメディもフィナーレです。終盤で注目すべきはもちろん、高梨家にお泊りに来た鷲崎みみかと森川ゆいがミーシャの亡き母親のアトリエに入ったことを発端とする、シリアス展開でしょう。思い出の場所に侵入者の存在を認めて気色ばむミーシャに、事情を察したつばめがみみかたちを庇って「入ったのは自分」と証言。ミーシャはつばめを罵倒して、引きこもってしまいます。

 

なるほど、あとは雨降って地固まるとなるわけだな。第11話まで視聴したところで見切ったつもりでいましたが、実際は予想以上! 最終話はまさかの感動回でした。具体的にどうだったかは観ていない方のために伏せますが、誰しも目頭を熱くするあのシーンまでのプロセス。実は相当な計算で成り立っているものと思われます。

 

本作はコメディ、それもドタバタ要素の強い内容ですが、肉親の死や残された者の悲しみというシリアス要素も扱われているのが特徴。しかしこれまで、場面や状況としてのシリアスさは最小限に抑えられ、シリアス展開に至っては巧妙に避けられてきました。終盤でいえば、旅行先でミーシャが父・康弘の言いつけを破り、危険区域に立ち入った第10話。娘に優しすぎる康弘がちゃんとミーシャを叱る場面も、怒鳴る、号泣するという感情の発露は双方ともなく、大人しめです。別に鬱展開を良しとするわけではありませんが、それにしてもなぜ、と思っていました。

 

そんな疑問に答えるかのように、最終回は満を持してのシリアス展開。冒頭から暗い色調の画面で、ストーリーは進んでいきます。つばめの失ってばかりの過去は切なく、ミーシャが引きこもった本当の理由もまた、重い。こうして高められた視聴者感情を、あのシーンが決壊させるわけですね。ビールを飲んでいてタガが外れやすくなっていたとはいえ、気持ち良く泣かせていただきました! 

 

これで本作がピリオドとなっても納得ですが、まだまだつばめのド変態ぶりにミーシャが鋭く突っ込む、ドタバタ劇を観たいのも確か。原作はまだ続いているようですし、たまには筋トレでもしつつ、今後の動きを見守りたいと思います。

 

 

公式サイト:http://uzamaid.com/

 


 

さて、2018年も終わり間近にして、連載も半年目の区切り。今度こそお別れの挨拶かな、と思ったのですが、ありがたいことに本コーナー、2019年も継続することが決定いたしました! 今後とも、ビールのお供に相応しいアニメの魅力についてご紹介できればと思いますので、お引き立てをよろしくお願いします。

 

それでは、2019年冬期アニメの序盤について扱う、第7回でお目にかかりましょう! よいお年を!

 

■過去の「アニメ鑑賞はビールとともに!」の記事はこちら

【2018年7月期アニメ感想7月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第1回
・【2018年7月期アニメ感想8月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第2回
【2018年7月期アニメ感想9月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第3回
【2018年10月期アニメ感想10月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第4回
【2018年10月期アニメ感想10月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第5回

 


								
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