皆さんごきげんよう、ライターの永田多加志です。

 

「春! お花見! ビールで乾杯!」 

 

……という夢を見たのね? ハイ、そうです。今年も山手線の車窓から、上野公園の桜を遠望して終わるんだろうなぁ。

 

さて、新年度を迎えフレッシュな気持ちで4月期アニメの視聴に取り掛かりたいところ。そのためには、1月期アニメの総まとめが必要不可欠です。もちろん、最終回まで観ていない方のために完全なネタバレは避けつつ、今回もビールが美味くなること請け合いな内容と魅力について語っていきましょう!

 

 

■前回の「アニメ鑑賞はビールとともに!」はこちら

 

1話まるまる使った空戦アクションは圧巻!戦闘機乗りの未来に希望の光が差す『荒野のコトブキ飛行隊』

 

戦闘機を駆り、空賊とのバトルに明け暮れるキリエたち女子パイロット集団・コトブキ飛行隊の日常を描く本作も、最終回です。

 

終盤では、地上の支配を目論む政治家・イサオの勢力が拡大の一途を辿り、彼に同調しない町や都市は空爆の憂き目に。イサオの政敵・ユーリアをサポートするコトブキ飛行隊も窮地に立たされます。さらにイサオは、別の世界・ユーハングへ通じる「穴」から、向こう側の技術や文化まで掌握しようと画策。それを防ぐべく、コトブキ飛行隊とそのクライアント・オウニ商会は、わずかばかりの協力者とともに不利な戦いに身を投じる運びとなりました。

 

本作の見どころとして、実在の戦闘機によるアクロバティックな空中戦が挙げられますが、クライマックスに至ってこれでもかと言うほどの大盤振る舞い! 最終回は、1話ほぼすべて戦闘シーンという贅沢さです。機体はコトブキ飛行隊の6人が操る隼一型やイサオの愛機・震電はもちろん、紫電や彗星、雷電などなど、これまで登場した多くの機体を一挙に投入。大空を舞台にした大規模な集団戦から、市街地を縫うように飛び回る一機対一機のガチバトルまで、息つく間もない迫力のアクションには、ただただ圧倒させられました。

 

一方で物語の結末は、必ずしも明るいものではありません。オウニ商会は虎の子である飛行船・羽衣丸を失い、コトブキ飛行隊は明日をも知れない身の上に。イサオの支配を離れたとはいえ、世界が混乱をきたすのだって避けられない。にもかかわらず悲壮感がないのは、キャラクターたちが軒並み前向きだからです。

 

すってんてんになったオウニ商会社長のマダム・ルゥルゥは、「帰ったらまずはシャワーかしらね」とさわやかな笑顔。コトブキ側に付いた戦闘機乗りのアドルフォ山田とナオミは、いい雰囲気です。脇役たちの明るいやり取りを経て、飛行隊の6人が、幸運や祝い事、長生きといった「コトブキ」の意味を話題にする。かくして我々視聴者は、キリエたち戦闘機乗りの未来に、確かな希望の光を見るわけですね。

 

エンディングの情感に知らず涙を流していたのは、酔いが回った私だけではないのではと。

 

公式サイト:https://kotobuki-anime.com/

 

ついに訪れる出会いの時――世界を変えるユウキの決断に、ステラが選んだ道とは?『エガオノダイカ』

 

新型エネルギー・クラルスをめぐるソレイユ王国とグランディーガ帝国の戦争を、「笑顔」という一風変わった要素とともに描くオリジナルアニメ。王国の君主・ユウキと帝国の兵士・ステラのダブルヒロインがなかなか出会わないことで不安だった同作も、フィナーレです。

 

クラルスの自然環境に対する深刻な影響が取りざたされて尚、停戦の選択肢を取れない両国。王国軍の指揮を執るユウキも最前線で戦うステラも、それぞれの場所で続けざまに仲間を喪っていきます。そんな中、ユウキは争いの原因であるクラルスの供給自体がストップされる、大胆極まる作戦を決意。システム破壊のため施設に潜入したところを偶然発見したステラが追いかけ、2人はついに邂逅を果たします。

 

全話観終えての率直な感想は、賛否の分かれるラストだろうな、ということ。とにかく、ユウキの出した結論が強引です。我々の感覚で言えば、電気を作り出すエネルギー源が問題なので、電気なしの世界にしようということですから。しかし一方で、それしかないよな、と納得させられるのも事実。つまり、納得に足るプロセスを描くことに、本作は成功したと言えます。

 

世界中を「笑顔」にしたいというユウキの願いも虚しく、戦争の犠牲になる人間があとを絶たない。孤児だった過去から、偽りの「笑顔」で自分を守ってきたステラは、皮肉にも仲間たちの死を経て蓋をしてきた感情が目覚めていきます。国も立場も「笑顔」に対する考え方すら違いながら、ユウキもステラも悲しみという「代価」を払い続けてきた。そんな下地があればこそ、ユウキの決断と同様、ステラの選んだ道にも説得力が生まれるわけですね。

 

それにしても、扱いにくい要素ばかりを持ち込みながら、よく物語が破綻しなかったと感嘆します。「笑顔」という抽象的な概念はもちろん、ユウキとステラの立ち位置ひとつ取っても、ネックだったのは明らか。敵国の、それも王女と兵士という大きすぎる違いは、出会いのシチュエーションに苦慮することを意味するのですから。

 

しかし何より凄いのは、豆腐メンタルで重い話が大の苦手である私の心を、最終回まで繋ぎ止めたこと! これは誰がなんと言っても評価に値すると思うのですが、いかがでしょうか?

 

公式サイト:http://egaonodaika.com/

「好き」の気持ちに優劣なし!たつき監督の手腕に酔いしれるラストシーン――『ケムリクサ』

 

『けものフレンズ』で脚光を浴びたたつき監督が手がける3Dアニメにして、今期の話題作が完結しました。

 

終盤は、脅威の源である「赤い木」を切断するため、りん・りつ・りなの姉妹と少年・わかばが奮闘する展開に。リタイアを余儀なくされたりつとりなの死期が迫る中、わかばとりんは彼方の幹を目指して根を登っていきます。物語の根幹をなす多くの秘密が明かされ、わかばに対するりんの気持ちにも答えが出ました。

 

最後まで観て気付くのは、本作における「好き」の概念が、随分特殊な扱われ方をしていることです。りんを除くキャラクターは、それぞれ明確に好きなものや好きなことがある。りつは「ミドリちゃん」と名付けた植物が好きで、りなは食べることが好き。わかばは持ち前の探求心から謎多き草・ケムリクサが好きという具合ですが、各々異なる「好き」が等価値に描かれている。なんと、恋愛感情の「好き」ですら同列なのですね。

 

その理由は、りんが亡き姉妹について語った「(みんな)終わりは笑っていた」という言葉から伺い知ることができそうです。苦しみや悲しみの多い世界で喜びを見出すには、何か、あるいは誰かを「好き」になるしかない。趣味に没頭するのも恋に生きるのも、結局は同じ幸福になる手段であり、優劣を付けるなんてナンセンスである。そんなメッセージが隠されている気が、私にはします。

 

また、たつき監督は視聴者心理を操ることが本当に巧い! 私を含め、多くの人たちが感動したであろう、あのラストシーン。実は、これまで徹底して出されなかった、複数の要素で成り立っているのですね。暗く陰鬱だった世界とは真逆の、光あふれる場所。りんが初めて起こしたアクション、初めて見せた表情。そして、ダメ押しとばかりにあのセリフへと続いていくわけです。出し惜しみと焦らしのテクニックを駆使して視聴者の感情を誘導し、絶妙なタイミングでカタルシスへと導く。『けものフレンズ』の時とは別の形になるものの、我々はまたたつき監督の術中にハマっていたようです。

 

視聴当初と今とで、作品の印象が大きく変わった本作。どこに伏線が張られていたかなど、新たな発見を求めて、もう一度最初から観直したいと思います。

 

公式サイト:http://kemurikusa.com/

 

夏の思い出とともに距離が縮まったかと思いきや……!?不器用すぎる2人がもはや愛しい『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』

 

「いかにして相手から先に告白させるか?」を目的に、腹の探り合いを繰り返す男女を描いた新感覚ラブコメ。脇役である藤原千花や石上優にもスポットを当てつつ、終盤はメインを張る副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行(しろがねみゆき)の関係に重きを置いたエピソードが続きました。

 

風邪を引いたかぐやと同じベッドで寝る事態になった白銀の動揺ぶりや、夏休みになって会えなくなった2人が寂しがる様は、もはやただのラブコメ! 「生徒会のみんなと花火が見たい」というささやかな、しかし切なるかぐやの願いを叶えるため、白銀が奮闘する最終回も熱い。

 

ただ個人的には、感動の最終回という扱いにせず、この期に及んでまだかみ合わない2人のエピソードをもう1本用意したところが、好感触です。具体的には、3本立ての2本分を使って感動回とし、残りの1本をギャグ回に当てている。エンディングまでたっぷり使って感動を描き、Cパートでおまけ的にオチを付けても良さそうなのに、です。1つ前の第11話で、わざわざエンディング後にエピソードの前編を入れているあたり、意図的なのは間違いありません。構成だって良いとは言えないのに、なぜなのか?

 

憶測ですが、本作最大の魅力である恋愛頭脳戦を、今一度視聴者に印象付けるためではないでしょうか。心憎いのは、花火の件を経て距離を縮めたはずの2人がどうなったか、補完する役割もあるということ。元々原作にある話とはいえ、それをアニメで活用することだって手腕の内だと思います。

 

そういえば私を含め、多くの視聴者が疑問に思っていたであろう、白銀たち生徒会のメンバーを飛行機乗りとして登場させたエンディング。その理由が、ラストのギャグ回でついに判明します。……悪口と取られると怖いのですが、それでもあえてツッコミを入れさせてください。「しょーもな!」……とはいえ、そんな小粒なネタを拾ってエンディングのアニメーションに昇華させたのは、スタッフの愛でもあるわけですね。

 

当初は目新しい趣向から視聴を決めた本作ですが、今は正直、かぐやや白銀をはじめとするキャラクターへの思い入れの方が勝っています。原作はまだ続いてますし、アニメの第2期があることを願ってやみません!

 

公式サイト:https://kaguya.love/

 


 

さてここで、大切なお知らせです。本コラムを掲載しているWEBメディア・SWAMP(スワンプ)ですが、この度、リニューアルオープンさせることが決定いたしました。それに伴い、『アニメ鑑賞はビールとともに!』も少しの間お休みとなります。

 

しかし、これでお別れではありません。SWAMPが新生した暁には、おなじみ「ごきげんよう」の挨拶とともに舞い戻って来たいと思います。それまで皆さん、お元気で!

 

■過去の「アニメ鑑賞はビールとともに!」の記事はこちら

【2018年7月期アニメ感想7月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第1回
・【2018年7月期アニメ感想8月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第2回
【2018年7月期アニメ感想9月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第3回
【2018年10月期アニメ感想10月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第4回
【2018年10月期アニメ感想10月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第5回
【2018年10月期アニメ感想10月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第6回
【2019年1月期アニメ感想1月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第7回
【2019年1月期アニメ感想1月篇】オタクライター・永田多加志のアニメ鑑賞はビールとともに!第8回


								
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