アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。

 

前回から随分と間があいていますが、サイト立ち上げ準備や何やらで忙しい日々です。そんな日々が続くと、なかなか作品をしっかり観る時間が取れないものですが、とある取材準備で今まで観れていなかった気になる作品を観ることに。

 

それが『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』です。

「うまくなりたい」ただそれだけ

画像出典:http://images-jp.amazon.com/images/P/B01IARPZRW.jpg

 

京都アニメーションが制作し、2015年4月にTVアニメ第1期が放送された『響け!ユーフォニアム』の総集編として、2016年4月に劇場公開されたのが本作『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』。

 

吹奏楽部の主人公・黄前久美子は、中学生のときコンクールで結果を残せず、悔し涙を流す高坂麗奈を見て、一度すべてをリセットしようとして高校へ進学。しかし、そこで再び久美子は麗奈に出会い……。

 

総集編というだけあって、前半はテンポ重視で物語が進行。次第に吹奏楽部全員が真剣に音楽に打ち込むようになっていき、久美子と麗奈の関係も変化していく様を、ユーモラスかつ情緒的に演出しているのが本作の特徴ですね。

 

女性同士の友情の芽生えは、お互いを下の名前で呼び始めたときだと僕は勝手に思っています。久美子のクラスメイトで同じ吹奏楽部に入ることになる加藤葉月が、いきなり下の名前で久美子を呼び始めるところと、久美子と麗奈の間に徐々に友情(というか愛情?)が芽生えていくさまが見事に対比されています。

 

音楽に真剣に取り組むからこその、感情のゆらぎ・なびきがドラマティックに魅せられていき、山場である関西大会出場をかけた吹奏楽コンクール京都府大会のシーンが、物語の起点へと繋がっていく。アニメの女子キャラクターは、どうしても記号論的な描き方になってしまいますが、本作の主人公・久美子は、「どこにでもいる一人の少女」であり、それが「特別な存在になりたい」と強く思う麗奈と対をなします。

 

最終的に彼女たちは、「うまくなりたい」というシンプルな想いを持ち、互いに支え合うようになるのですが、本作の魅力はシンプルなまでにその「うまくなりたい」という気持ちに尽きます。僕もいい記事を書きたい、もっとたくさんの作品を見たい。ただその一心ですし、「強くなりたい」というような気持ちも、本質的には変わらない人の一途な想いなのだと、再実感できました。

 

残念ながらDVDでの視聴となったので、音楽を劇場の環境で聴くことはできなかったのですが、本作は「映画」的というよりは「劇場版」というのが、タイトル通りの印象。もちろんTVアニメ版の総集編であるのですが、そうではない本質的な部分で「映画」的な体験とはまた別なんですね。

 

何が「映画」で何が「劇場版」なのか。

 

「映画」というキーワードを、京都アニメーションの中で作品に向き合いながら考えている人物。それが本作のシリーズ演出を手がけた山田尚子さんなのではないかと、彼女の劇場3作品を観てきて僕が考えていることです。

 

さて、そうこう言いながらも、忘れたくない大切な初心を思い起こさせてくれた作品である『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』。

 

まだ未見の方は、ぜひ彼女たちが奏でて紡ぐ物語をご覧ください。

 

公式サイト:http://movie.anime-eupho.com/

 

 

第17回 「AnimeJapan 2018」とバーチャルユーチューバー

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