アニメをめぐる冒険型コラム「アニメ・エンタープライズ」。今回は「アニメ」と「アニメーション」について少し書きたいと思います。

 

細かい話ですし、皮膚感覚的なところが大きいのですが、コラムを書いているエンタープライズ山田は、「アニメ」という言葉と「アニメーション」という言葉を意図的に使い分けています。

テレビの中にあったアニメーションの輝き

 

ざっくりいうと、TVで放送されるものを中心にエンタメ要素が強いものを「アニメ」と呼称し、作画はもちろん、粘土や切り絵など「止まっているものを動かすこと」の表現を重視しているものを「アニメーション」と呼んでいます。

 

もちろん、「アニメ」も作画しているわけで、「アニメーション」でもありますし、いわゆるフルアニメーションはエンターテイメントではないのか? ディズニーはどうなの? というところもありますが、いまのところそういう分け方がしっくりきているので、そうしています。

 


画像出典:http://images-jp.amazon.com/images/P/B000FUTUW4.jpg

 

テレビアニメの中にも「アニメーション」は意外と多く取り入れられています。たとえば、2002年放送の『花田少年史』のOP。日本の田舎の風景が印象的な作品でしたが、バックストリートボーイズの楽曲と、平田敏夫さんが手がけたアートアニメーションチックな映像が非常にマッチした傑作OPです。

 

平田さんは『あずきちゃん』のエピローグイラストや、細田守版『時をかける少女』の絵画イラストなど、ポップなものから芸術的なものまで、アニメの世界にアートの輝きをもたらしていた方です。

 

逆に監督として手がけた手塚治虫原作の『ユニコ』では、手塚さんのディズニー嗜好にのっとって、アートアニメーションチックになってもおかしくないところ、杉野昭夫さんの美麗キャラクターも相成り、どこか「アニメ」としてのエンターテイメント要素が抜群のバランス感覚を持って盛り込まれています。

 

「アニメ」と「アニメーション」という言葉を考えるとき、浮かんでくるのは平田敏夫さんの作品とお顔だったりします。2014年に亡くなられてしまいましたが、マッドハウスの数々の名作や秀作を支えてきたアニメ業界のレジェンドの1人です。

 

僕が一番好きな平田敏夫作品は、『ボビーに首ったけ』。新宿TSUTAYAからVHSでレンタルして、あまりの素晴らしさにほかにもたくさん借りてきているなか、この作品だけ観直しました。劇中にセンス良く導入されたアニメーション技法もさることながら、クライマックスのバイク疾走シーンのカッコよさと、そこからのEDがまた最高なんですね。ぜひもう一度しっかりと観直したい作品です。

 

この作品がコテコテなBL影などが流行していた1985年に公開されているというのも、またいいんですね。「アニメ」にしても「アニメーション」にしても、形にとらわれない柔軟な発想で表現できることに、魅力があるのだと気づかせてくれます。

 

天国にまで取材に行けるのなら、平田敏夫さんに「平田さんにとってアニメとアニメーションとは、どういうものでしょうか?」と聞いてみたいなぁ。

 

>次コラム

番外編 原稿が落ちました

関連キーワード
アニメの関連記事
  • 「アニメ・エンタープライズ」第45回 EDクレジットの楽しみ方・基本編
  • 「アニメ・エンタープライズ」第44回 アニメの情報は何を元にするのか
  • 「アニメ・エンタープライズ」第43回 たくさんあるアニメの楽しみ方
  • 「アニメ・エンタープライズ」第42回 大張正巳さんのOP
おすすめの記事