
WEBを中心に人気を集めている中音ナタさんに、SWAMP(スワンプ)独自インタビューを敢行! 新単行本発売のタイミングにあわせて、『ラブライブ!』ファンにして「夢を叶えた」作家である中音さんのこれまでとこれからを、全7回のショートインタビュー連載でお届けします。インタビュアーはSWAMP(スワンプ)編集長にして、かつて「電撃G's magazine」編集部にも所属していた加藤真大が担当。
ショートインタビュー第5回目は、前回から引き続き『ラブライブ!』の魅力をかく語りき。オタクの概念を変えたかもしれないという『ラブライブ!』の伝説の一端をご覧ください。
私の好み
加藤:ファン目線からだと、最初に『ラブライブ!』がブレイクしたのはどのタイミングでしたか? やっぱりTVアニメですか?
ジャック濱:僕はずっと「電撃G's magazine」を前身時代から読んでいて、『シスター・プリンセス』とか『双恋』の流れが好きで、新しい企画が始まったらとりあえずチェックするっていう感じだったんです。連載が始まった当時「Animelo Summer Live (アニサマ)」で見た「ミルキィホームズ」にハマっていて、キャスト発表のときに(『ラブライブ!』に)三森すずこさんと徳井青空さんが出ると知って、そこから追いかけようと。
加藤:キャスト発表は2010年の秋くらいなんですけど、僕が編集部のアルバイトとして関わり始めたのもちょうどそのあたりです。「ミルキィホームズ」のブレイクも印象的だったなぁ。その流れもあって、ジャック濱さんみたいなコア層が反応したというか(笑)。
ジャック濱:それからTVアニメが始まるまで、フックになったことが僕の中に3つあって、1つが2ndシングルの『Snow halation』だったんですよ。あれは単純に曲として大好きで、僕は花陽推しなんですけどCMの中にワンショットで出てくるシーンがあって、「この娘は絶対かわいい!」と。
中音:確かに「スノハレ」の花陽ちゃんはかわいいですよね。
加藤:名曲ですからね。
ジャック濱:そのあとのアニサマで3rdシングル『夏色えがおで1,2,Jump!』を聴いて。それは正面から見れなくて、バックステージ席から背中だけ見たんですよ。
加藤:声優さんたちのダンスも、当時話題になりましたよね。今では当たり前みたいになっていますけど、PVと同じ振り付けをするって。
ジャック濱:最後のトドメが5thシングル『Wonderful Rush』なんです。あれが本当にツボで。
加藤:今の話を聞いていて思い出したんですが、僕は(真姫推しなので)花陽はそこまで好きではなかったんですが、TVアニメ(第1期の第4話)の眼鏡を外す話を観ていて泣きそうになりました。
中音:あれは伝説ですよね!
加藤:なんでかけているんだろうと思ったら、そういう伏線かと(笑)。やっぱ振り返るとTVアニメは良かったですね。もともとの設定だと「廃校になるからスクールアイドルとして救おう!」というところから始まっていて、どうやってドラマを描くんだろうと思っていたんですが、やっぱりキャラクターにフィーチャーしたっていうところが大きかったんだなと。みんな誰かしら好きですもんね。
ジャック濱:リアル(声優)とアニメ(キャラクター)のキャッチボールがある感じがして。
中音:そうですね、ありますね。
ジャック濱:そこがいいんだと思います。全員がずっと手探り状態でやっていて、こういうのがあるからとTVアニメにも反映されて、TVアニメになったらリアルでも反映されて。「μ's」のときは、東京ドームでの(キャラクターと声優合わせて)「18人で」というところにつながって。
中音:あれは本当に大泣きしました。
加藤:紅白歌合戦出場のときもそうでしたけど、東京ドームでのライブとか、冷静になるととんでもないことですよね。もっと時が経って10年後20年後には本当に伝説ですよ。
中音:やっぱり歴史的瞬間を自分が見たっていう嬉しさがありますね。
加藤:ライブ会場もどんどん大きいところになっていって、一緒にその過程を体感として共有できるという。
中音:僕はずっと家の中でアニメを観るという生活をしていたのですが、それは一方的に観るっていう形なんですよね。いま流行っているバーチャルYouTuberとも近いところなんですが、ちゃんと観たら自分もそこに居るっていう気分にさせてくれるものが、『ラブライブ!』にはあると思うんです。ライブもしかり、雑誌でユニット名の公募もあったじゃないですか。あれに応募した人たちも、「俺たちが応募したことによってこの名前がつけられたんだ」っていう気分にさせてくれるので、革命的だなと思いました。
加藤:「μ's」という名前自体も公募でしたよね。僕は当時あったキャラクター人気投票とかの集計をしていたんですよ。穂乃果が1強で、にこが出てきてという頃でしたが、真姫とかエリーチカが熾烈な下位争いをしていて(苦笑)。あの頃の雑誌に投稿するという古き良き文化っていうものが、うまいこと広がっていったなと感じます。
中音:やっぱり『ラブライブ!』の人気投票とかがきっかけになって、いままでやってこなかったところもやり始めていますよね。僕も『ラブライブ!』をきっかけにして積極的になりましたから。『ラブライブ!』も成長していっているけど、自分も知らず知らずのうちに成長しているというか。
加藤:オタクというものを変えた作品かもしれないですね(笑)。
中音:そうですね(笑)。
加藤:関わり方はそれぞれありますけれど、こうして話してみると立場って関係ないっていうか。中の人としての関わり方もあるし、ファンとしての関わり方もある。全部ひっくるめて共通するのは、この作品に自分が関わって応援したいとか、そう思わせる何かがあの娘たちにはあった。
中音:僕にとってキャラクターを推すという文化、中身を知りたくなるっていうのは『ラブライブ!』が初だったんですよ。好きなキャラクターを隅々まで知りたくなって、にこちゃんのことをもっと知りたいと思って。
加藤:家でどんな生活をしているんだろうとか。
中音:そうなんですよね(笑)。
次回の「中音ナタインタビュー劇場!」は1月5日(土)公開予定です! お楽しみに!
インタビュー中でも話題になっている単体アンソロジーの単行本は、12月27日(木)に発売。連載で読んでいた方も、ぜひ手にとってみてください!
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■中音ナタインタビュー劇場!記事一覧
・第1回『1日1本ラブライブ4コマ』をはじめよう!
・第2回・中音ナタの元は何だ?
・第3回・やめられないことは
・第4回・フィルムをめざして