縁側トークの後半、MCの伊藤さんから「山﨑さんと樹木さんは今回が初共演ということですが、いかがでした?」と呼びかけられると、その後は怒涛の展開に突入したんです。あまりにも、そのやりとりが面白かったので、ここからはその模様をノーカットでお届けします!

 

樹木:はい。って、私はこうやって隣の夫を差し置いてしゃべるんですけど、私はもう60年近く役者をやっていて、初っ端に入ったところが文学座で、山﨑さんはそこのちょっと先輩で。その頃は舞台よりも黒澤明監督の映画でワァっと出てらっしゃいましたから、私たち後輩にとっては憧れの的というかね。全く遠い存在の人でしたね。芸能界に入ってからも、ただの一度も同じ画面で芝居をしたことがない。

 

このなんていうかな、山﨑さんは正道の役者の道をずっと歩かれて、私はあっちこっちバラエティみたいな役者でしたから、逢うわけがないんですけど、この年になって、電話で「熊谷守一」って聞いた時に、「あ、もしかして山﨑さんがおやりになるのかな?」と思って、「主演が山﨑努さんです」「私は何の役でしょうか?」「奥さんです」「やらせていただきたい!!」って、すぐに言いました。

 

本当に、そんなことがあるとは思ってなかったですからね。18の時に役者になって、いま75になって。とてもありがたい仕事でした。

 

山﨑:あの、う~ん(笑)。うははは(笑)。役に入る前にいろいろ準備をする中で、役についてもいろいろ考えます。これからご覧になる前にあまり詳しいことを言ってもなんですが、奥さんである秀子夫人のことは「かあちゃん、かあちゃん」って呼んでるんですけれど、かあちゃんの存在が大事だっていうことは、最初から考えていました。

 

しかし、撮影に入ってから、希林さんと共演して、「いや、これは本当に守一さんが独自の生き方をして、晩年の30年間、自宅から一歩も外に出ないっていうような生活が出来たのは、かあちゃんの力なんだな」っていうことを、希林さんの演技が持つ説得力で、納得できました。

 

 

樹木:でもあれでしょ。山﨑さんは最初のキャスティングのとき、他の人を考えてたでしょ!

 

山﨑:いやいや、僕はキャスティングに関しては全く関係なしで、監督から情報を聞いているだけでしたから……。

 

樹木:じゃあ、言われるがまま。

 

沖田:あのぉ、えっと、あのぉ……。

 

山﨑:まぁ、あんまり言ってもいけませんが、彼女がモリに花を投げるシーンがあるんですが......。

 

樹木:それはまぁ、それほどではないんで、あんまり言わないで(笑)。

 

山﨑:あれは台本にはなかったことなんで、彼女の発想というかアドリブなんでね、現場で見ていてグッときました。

 

樹木:そんな、それほどじゃないのよ。そんなこと聞いてから観ると「はぁ? 何が??」ってなるから。

 

 

(とはいえ、MCの伊藤さんから「山﨑さんが樹木さんの演技を絶賛されていましたが、樹木さんいかがですか?」と促されると.....?)

 

樹木:うんうん。いつも私、褒められ慣れてるから。ま、それは冗談ですけれど、監督は本当は秀子役は誰が良かったの??

 

沖田:いやいや、そりゃ、樹木さんと山﨑さんですよぉ!

 

樹木:いやいや、最初からじゃないでしょう? 最初は他の人を考えてたんじゃないの? もう少しまとまった顔の。

 

沖田:いやいやいや…….。でもほんとに、樹木さんと山﨑さんが並んでいる姿を見て、「これ、僕が撮っていいんですか?」って思ってしまうくらいの気持ちでした。

 

樹木:そんなところでございました。

 

MC:お二人だからこその空気感や、阿吽の呼吸を生み出す秘訣は?

 

山﨑:皆さんこれから観られるんで、それはもう、ちょっと僕、さっきは言い過ぎたけど。

 

樹木:ほんとほんと。

 

MC:94歳にして「もっと生きる」「もっと描く」といった守一さんの生き方について、どう感じられました?

 

山﨑:僕はよくわからないですね(笑)。僕と守一さんとは違いますから。僕にはよくわかりません。

 

樹木:そういう言い方はいいですよねぇ。うん。私もわかりません。

 

 

と、最後は煙に巻いたまま、縁側トークは幕を閉じました。

 

いかがでしたか? 『モリのいる場所』完成披露試写会の舞台挨拶の一部始終から、きっとこの映画の魅力も感じ取って頂けたのではないかと思います。

 

SWAMP(スワンプ)では、本作の音楽を担当された牛尾憲輔さんのインタビューもお届けする予定です。お楽しみに!

 

 

次ページ:樹木希林さん囲み取材実況中継の巻

 

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