舞台挨拶は終了となりましたが、その後マスコミ向けに行われた囲み取材でも、樹木希林さんの魅力が全開だったので、特別にその模様をテキスト実況中継風にお届けします!

樹木希林さん囲み取材実況中継の巻

 

はい、どうも。おばあさん、座らせて頂きます。この方が居心地良いわよね。

 

Q.完成披露いかがでした?

 

久しぶりにみんなと会って懐かしかったですね。去年、7月の暑い中でやったんで、皆の顔を見てとても懐かしかったです。

 

Q.沖田監督に対しては、どうお思いですか?

 

私は偏屈で人をなかなか認めようとしないタイプの人間なんですけれど、あの監督はいいですねぇ。これからの日本映画を背負っていってもらいたいなぁっていう風に思っています。沖田さんに対しては。

 

Q.山﨑さんとは、今回が初共演だったそうですね?

 

そうなんですよ。これだけ役者やっててねぇ。でも、このポスターを見る限りでは、とてもいいじゃないですか。自分で言うのも変だけど。ふふ。私、自分が出てる映画のポスターとか送ってくると「要らない! 結構です」って言うんですけど、もちろんこれももらいませんけど、このポスターを見る限りは、とてもいい夫婦の形になってますねぇ。

 

Q. 山﨑さんとは息ピッタリといった感じだったんでしょうか?

 

いや、合わしてくれてるんでしょう。山﨑さんが。

 

Q.こういった熟年夫婦の映画ってあまりないと思うんですが、演じられてみていかがでした?

 

こういう熟年の夫婦を主演に持ってくるっていうのは、興行のことを考えるとね、なかなかあれだけど、それはやっぱり作り手がそこを度外視して、「それでもやる!」って言って、そこに皆が集まってくれたっていうことで、やっぱり守一さんと山﨑さんの力っていうのは、すごいなぁと思いますね。

 

Q.客層としては、どのあたりを目指しているんですか?

 

いや、層はね、いろいろ目指すから。若手の吉村界人くんとか、青木崇高さんとか、若い人も集客できると思ってはいますけど、う~ん、でもあんまり期待できないな。若い人が出てるからといって若いお客さんが来るとは限らないし、どうかなぁ~。

 

私たちは自宅からただズルーっと来てるんですが、吉村くんと青木さんは、ちゃんとヘアメイクとスタイリストがついて、髪の毛一本でもやってましたからね。その分くらいは、若いお客さんが入ってもらいたいですねぇ(笑)。

 

Q.吉村さん、青木さんの演技はいかがでした?

 

その年齢に即した役ですからね。例えば、吉村くんの役を「あんたやってみろ」って言われても、なかなか出来るものではない。その年のあのまんまですから。強烈な印象というわけではないですけど、それがうまく出てるような気がします。

 

Q.撮影現場の雰囲気は落ち着いた感じだったんですか?

 

うーん、どうだろう? そういう意味では、みんなお行儀が良かったですねぇ。本当は弾けたかったんじゃないかな。まぁ、美恵ちゃんの役が一人で弾けてくれてますけども、なかなか遠慮したかもしれませんね。それは観てのお楽しみですね。

 

Q.熊谷守一さんの作品はご存知でしたか?

 

もちろん、知ってましたよ。でも、本当に知らない人が多いんですよね。たまたま「週刊新潮」の方が私のところへ「病気のことを聞きたい」って来たから、「いやあ、今日は熊谷守一の映画で......」っていう話の流れで「熊谷守一って知ってますか?」って聞いたら、「う~ん。名前を聞いたことはあります」「じゃあどういう職業だかわかりますか?」「いやぁ、全くわかりませんね」って言ってましたから。

 

皆さんもそうでしょうけど、ああいうところに入る人って、一応ね、私なんかよりはずっと勉強している人だと思ってましたけれども、そんな風だったから、「これはあんまり期待できないかな」とは思いましたけどね。あえて説明はしませんでしたけど。

 

Q.守一さんの作品については、どういう印象をお持ちですか?

 

それはもう、人それぞれですから、あれですけど。当初のちゃんとした写実の。それこそ、青木繁と同級生でしょ? 青木繁の絵は有名な絵があるからご存知でしょうけど。でも守一さんは後半、猫の絵とか切り餅の絵だとか、作風が変わってくるわけだから。それはもう、絵というものは、見た人それぞれが読み取るものだと、私は思っていますので。

 

Q.最近の樹木さんのご体調の方はいかがですか?

 

悪いんですよ~。だからね、もうね、こういうところに連れてこないでって言ってるの。だけど、それこそ約束は約束ですから、まぁ、生きてる限りは来るかな? っていう感じ。

 

Q.すごくお元気な感じがするんですが。

 

瞬間芸だからね。これ、みんなが帰ったあとは「ガク~ッ」とくるけど、ほら、そこは誰も写さないから。いまは気を張ってるって感じかな。マネージャーも誰もいないわけだからね。みんな若いのに、くっついてんのよ、いろんな人が~。「空気吸っちゃうから、そんなに連れてこないで」って言ってるんだけどねぇ。

 

マネージャー、付き人、ヘアメイク、スタイリスト、自分、と五人いるわけでしょ? 私は一人だけど。

 

Q.今後のご予定は?

 

映画がずっと詰まってる! カンヌも行かなくちゃなんないし。あ、でも行かなくちゃなんないし、なんて言うと叩かれるか。行きたい人はいっぱいいるのに。すみません。

 

Q. 『モリのいる場所』は、海外での反応はいかがですか?

 

出さないからね。世界に発信する場所に作り手が出せば評価は付いてくると思いますよ。やっぱりね、残る映画だと私は思ってるんですけど、自分が出てるから、ちょっとねぇ、率直なところはわかりませんけど、私は好きな映画ですね。でも一緒に出たきたろうさんがね、「俺さ、自分のところが終わったら、あとはぐっすりよく眠れる映画だわ!」って言ってたからわかんないな~(笑)。

 

Q.観る人次第っていうことですかね(笑)?

 

だって、出てる人がそう言ってるんだから! でも、皆さんだって、劇場公開されたら、この映画観に行く?

 

Q.はい、行きます!

 

まぁ、可哀そうにねぇ。あなたと、目が合っちゃったから。

 

ーーーそこに、山﨑努さんが通りかかるーーー

 

あ、ごめんください。失礼いたします。一人でも観客を増やそうと思ってね。確約してますから。

 

(山﨑:よろしくお願いします)

 

Q.ぜひ行かせて頂きたいと思います!

 

あのね、一人で行かないで、お母さんとかお父さんとかさ、恋人とかと来て。

 

Q.あ、複数人で観に行きます......。

 

えぇ。そうそうそう。ぜひね。

 

Q.熊谷夫妻のような、夫婦円満の秘訣みたいなものを教えていただけますか?

 

夫婦の秘訣はですね、夫婦で向き合わないこと。夫婦で向き合うと、欠点が全部見えてくるから。夫婦で同じ目的に向かって、同じ方向を向く。それが一番だと思いますね。

 

Q.それは現実の樹木さんの夫婦関係にも通じるんですか?

 

それをやってこなかったからね、うちは夫婦で向き合っちゃって、いまだに電話1本でも向き合っちゃってるから凄まじいんですけど、守一さんの夫婦を見ると、夫の目指すところに寄り添うっていうね、やっぱり妻って言うのは、夫を敬うというのがね。それがあると、もう万々歳じゃないですかね。もう言うことないですね。それで壊れてる家庭って見たことない。

 

やっぱりそこですね。皆さん、まだお若いでしょうから、別れたくなる時もあると思いますけど、そういう時は夫婦で向き合い過ぎてると思って下さい。

 

いまね、首がね。このまえね、おでこをゴチンって打ったらね、首の筋を違えてね、首が回らなくてお辞儀が出来ないの。普段でもふんぞり返っているのにね。またこれでお辞儀が出来ない状態になって。年をとるということは、こういうことです。

 

Q.沖田監督が「人をちゃんと見る監督」であると感じたきっかけは?

 

あのね、OKが出ないんですよ。たとえば、「あぁ、ここの芝居がちょっと成立して無いな」っていう風に、役者は自分でもわかるんですよ。そうすると、「う~ん。もう一回行きます」って、必ず沖田監督は言いますね。もちろん櫓を壊すとか、一回しか出来ない時は別ですけど。いやぁ、よく見てる。それはね、期待してるんですよ。今後の日本映画を背負う監督としてね。それとね、沖田監督は性格が良い。

 

あのね、才能があっても、スタッフの一人だけいじめたりする監督っているんですよ。自分のストレスのやり場がなくてね。まぁ、気持ちはわかるけど。沖田監督にはそういうところが一切なくて、実に穏やかで。監督っていうのはやっぱり、人徳っていうのが一番の才能なんじゃないかなぁって思いましたね。役者なんていうのは、その都度都度の色合いで良いんですけどね。そういう風に感じました。

 

ーーーではここで終了とさせていただきます!---

 

貴方急いでるのね~。スミマセン。こちらのスタッフがこう言うもので。もう質問無いですね? いいですね? じゃあこれで失礼させていただきます。ありがとうございました。

 

『モリのいる場所』概要

 

『モリのいる場所』

 

5月19日(土)シネスイッチ銀座、ユーロスペース、
シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国ロードショー

配給:日活 制作:日活、ダブ
2018年/日本/99分/ビスタサイズ/5.1ch/カラー

 

監督 /脚本:沖田修一
出演:山﨑努、樹木希林
加瀬亮 吉村界人 光石研 青木崇高 吹越満 池谷のぶえ きたろう 林与一 三上博史

2018年/日本/99分/ビスタサイズ/5.1ch/カラー配給:日活

 

公式サイト:http://mori-movie.com/

 

 

(c)2017「モリのいる場所」製作委員会

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