20代後半からつきまとってくるモノ

 

加藤:最後に、中川監督にぜひ聞いてみたいことがあるんです。僕らって、いま20代後半なわけなのですが、30歳になるとかならないってことじゃなくて、20代の終わりにやってくる、独特の気配みたいなものを、実は今すごく感じているんです。

 

中川:それは自分も感じます。

 

加藤:後ろから追いかけてくる、「絶望」では無いんですけど、「あ、ここで取り込まれたら、しばらく帰って来られなくなる」っていうような、得体の知れない何かに追われている気がするんですよね。

 

中川:いや、実はそれをテーマに、ちょっと無理してでも1本撮ろうかなと思っているくらいです。

 

加藤:これは仕事だからだとか、家族がいるからだとかを言い訳にして追いつかれた瞬間に取りこまれてしまうんです。でもそれは生きていくうえで何の不自由でもないんです。なぜなら社会に適合するということだから。だから抗いたい気持ちもあるし、もしかしたら一緒に歩んでいけるかもしれないとも思っている。

 

中川:加藤さんがイメージされているものはどういうものですか? 絶望感? エモーショナルなものに近い?

 

加藤:エモーショナルなものに近いですね。そう考えること自体がエモーショナルですし、下手に妥協してしまうんじゃないかという感覚が近い……かな。

 

中川:例えば、作業的に色々なものをこなしてしまう、とかですか?

 

加藤:仕事を中心にしたらそうですね。なかなかひと言では言い表せない感情なのですが。中川監督は、どう向き合っていますか?

 

中川:どうしたらいいのか僕が教えてほしいくらいです(笑)

 

加藤:そういうものをしっかり受け止めて生きていくのも、ひとつの生き方だっていうのは、当然思うんですけどね……。

 

中川:う~ん……。「絶望に追いつかれない速さで走れ」という言葉は、もともと亡くなった親友の言葉をもとにしているのですが、その言葉を頼りに「走っていこう!」と思って、『愛の小さな歴史』や『走れ、絶望に追いつかれない速さで』を撮りました。

 

でも、「これ、何も考えずにこのまま走りつづけてると、ちょっとヤバいかも」と感じることもあって。だから「歩いた方がいいんじゃないか」と思って、歩くぐらいの速度でこの『四月の永い夢』を作ったんです。是枝監督も『歩くような速さで』って本を出されていましたし(笑)

 

――へぇ~!

 

中川:だから『走れ~』までの作品と『四月の永い夢』は違って、『四月~』は歩きながら作った作品なんです。この2年間、僕は結構歩いてきて。でも、歩くのは歩くので、何か別のものに憑りつかれそうな感じもあるんですよね……。

 

加藤:一方で、走っている方が楽な部分も、絶対あるじゃないですか。

 

中川:そう。それで結果的に今の自分が辿り着いたのは、「明るく走る!」だったんです(笑)

 

加藤:なるほど(笑)!

 

中川:もうこれしかないんじゃないかなって思いますけど、どうでしょうか(笑)?

 

 

取材後の写真撮影の際に、「『ウルトラマン』好きということで、もしよかったらお馴染みのポーズをお願いできますか?」というこちらの無茶ぶりにも、「俺ね、あんまりこういうのやったことないから、様になるかわからないけど」「いやでも、これ恥ずかしいな~」と言いながら、応じてくださった中川監督。

 

次回「平成生まれが、山田洋次作品の魅力をとことん語る!」といったような企画で、ぜひとも対談お願いします!

 

(写真:加藤真大)

『四月の永い夢』作品概要

 

『四月の永い夢』

 

出演:朝倉あき 三浦貴大

川崎ゆり子 高橋由美子 青柳文子 森次晃嗣 / 志賀廣太郎 高橋惠子

監督・脚本:中川龍太郎『走れ、絶望に追いつかれない速さで』

製作:WIT STUDIO 制作:Tokyo New Cinema

配給:ギャガ・プラス

 

5月12日(土) 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

 

公式サイト:http://tokyonewcinema.com/works/summer-blooms/

 

 

(c)WIT STUDIO / Tokyo New Cinema

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