5月26日(土)より劇場公開となる、『淵に立つ』深田晃司監督の最新作『海を駆ける』

 

その完成披露上映会が、去る5月7日(月)にテアトル新宿にて行われ、主演を務めたディーン・フジオカさんを始め、鶴田真由さん、太賀さん、阿部純子さん、深田晃司監督が登壇されました。

 

イベント当日は、まるで本作の舞台となったインドネシアを思わせるスコールのような大雨だったにもかかわらず、満席の劇場内は熱気ムンムンで、思わず圧倒されたほど! そんな当日の模様をたっぷりとレポートします!

 

ディーン・フジオカさんとインドネシアと日本のファン

 

MCを務める映画パーソナリティー・伊藤さとりさんから、「海から現れた謎の男・ラウ役を演じたディーン・フジオカさんです!」と紹介されるや、会場中に「ディーン!」という歓声が響き渡り、ついにご本人が登場!

 

ディーン:皆さんありがとうございます! 今日はちゃんと服を着てきました(会場からどっと笑いが!)。映画では全裸で登場しますが(さらに会場から「えぇ~!?」と歓声が!!)、今日はちゃんとジャケットを着て、皆さんにこうやってご挨拶させていただけることを、本当に嬉しく思います。今日は短い間ですが、一緒に楽しんでいってください。

 

と、会場に詰めかけたファンの方々に向けて、爽やかな笑顔でご挨拶!

 

 

本作の最大の特徴とも言えるのが、かつてスマトラ島沖地震による津波で甚大な被害を受けた、インドネシアのバンダ・アチェでオールロケが行われたということ。しかも、開口一番ディーンさんが「映画では全裸で登場します」と語った通り、海から全裸で岸に上がってくるという「正体不明の不思議な力を持つ男・ラウ」の登場シーンで、幕を開ける映画なんです。

 

難しい役を演じるにあたって「どれだけ器になれるか」を一番に考えたというディーンさん。

 

ディーン:(役作りに関して)ラウっていう、インスタレーションみたいなものを、自分の身体・声・存在を通して、深田監督に演出を付けていただいて作っていけたらいいなと。

 

そして舞台となったバンダ・アチェについても話されます。

 

ディーン:最初に「アチェでのオールロケ」と聞いた時、「気が狂ってるな」って思ったんですね。本当にアチェの歴史を知っていけばいくほど、半分僕が言っていることも冗談じゃないっていうのが伝わると思うんです。

 

アチェは、インドネシア政府と30年くらい独立戦争をやっていたところで、僕は家族がジャカルタにいるんですが、アチェっていうと、同じ国なんだけど外国みたいなイメージで、「そんな危ないところに何しに行くんだ?」って、聞かれたくらい。

 

もちろん映画を作るシステムなんて無いし、現地の人たちでさえも、アチェで何かを作ろうなんてことは考えもしないのに、僕の祖国である日本に”いい意味で狂った人たち”がいて(笑)。本当にもう、同志ですよね。自分もいつかインドネシアで映画を撮影してみたいと、ずっと思っていたので、こうして祖国を経由してインドネシアのアチェという場所に行けたことを、とても誇りに思っています。

 

 

災害復興活動に従事する貴子役を演じられた鶴田さんは、撮影現場での思い出をこう振り返ります。

 

鶴田:とにかく幸せな現場だったなと思います。インドネシアの人たちって、やることはやるけど、力抜くときは抜くっていう、そのメリハリがすごく上手で、私たちも影響されたんです。集中しなきゃいけないときに、キュっと集中できるような雰囲気を、現地スタッフが作ってくれたように思います。

 

(貴子の息子・タカシ役を演じた)太賀くんはインドネシア語がネイティブじゃないといけなかったんですけれど、私は(日本から移住した設定なので)日本語なまりのインドネシア語で良いと言われていて。とはいえ、単語が分からないと直されるわけですよね。そういう点ではすごく苦労しましたけど、語学ってしゃべってるうちに楽しくなっていくっていうか。意味はそこまで分かっていないんだけど、思い切って「しゃべれる雰囲気でしゃべる!」みたいなところから、徐々に楽しくなってきたような、そんな記憶があります。

 

この発言を受けて、深田監督らも交えてこんなやりとりも。

 

監督:最初に鶴田さんにオファーをして、鶴田さんからメールで返ってきた第一声が、「監督、これは本気ですか?」というコメントでした(笑)。

 

 

鶴田:はい(笑)。だってページをめくるたびに、「インドネシア語」って書いてあるんですよ! 「え!? またインドネシア語?」と思ったので、これは帰国子女の人がやった方がいいんじゃないかってくらい(苦笑)。

 

監督:はい(笑)。ありがとうございました。

 

ディーン:いやぁ、隣で鶴田さんと太賀くんを見ていて、本当にすごいなって思いました。脚本を見た段階で、自分のバハサ(インドネシア語)のセリフは2~3行くらいしかなかったんですけど、鶴田さん、太賀くんのところは「これ、どうするんだろう?」って(笑)。

 

太賀:「これ大丈夫かぁ?」ってなりましたよね(笑)。

 

ディーン:だから現場でお二人の姿を見て、鳥肌が立ちましたね。

 

太賀:えぇ~、嬉しい!

 

鶴田:台本読みながら、「なんで(インドネシア語を)しゃべれるディーンさんのセリフがないの?」って思いましたよ!

 

太賀:いやぁー、思いました! 思いました!

 

監督:いや、本当に。基本的に、監督の仕事は何かと言うと「自分に出来ないことを人にやらせる仕事だ」っていう(笑)。書く方は簡単なんですよ。「インドネシア語」って脚本に書くだけなので(笑)。本当に、猛特訓ありがとうございました!

 

ちなみに、インドネシアでの撮影現場に関しては、こんなトークもありました。

 

監督:日本人が外国に日本映画を撮りに行った感じではなくて、本当に両国のスタッフ・キャストが混じっていて、実はインドネシア人の方が多いんです。インドネシアですごく力のあるプロデューサーがプロダクションに入ってくれて、いわばインドネシアの流儀に私たちが入っていったという感じでした。

 

そのインドネシアの流儀とは何かというと、例えば昼休みに誰かが歌い始めたら、そのまま1時間近く合唱大会になるような(笑)。眉間にしわを寄せて、緊張しながら仕事をやらなくちゃいけないような日本の現場だと、なかなかこうはいかないですよね。仕事はすごく緊張感を持ってやってくれるからすごく皆優秀なんだけど、仕事も楽しみながらやってるし、休むときも全力で楽しんでいるから、結局は人生楽しんでるってことなんだろうなという感じです。

 

作中で歌うシーンがある太賀さんは、現場でも楽しげに歌っていたというエピソードも、和やかに語られました!

 

 

■次ページ:言語化されていない気持ちみたいなものを、言語化する必要のない映画

 

 

関連キーワード
映画の関連記事
  • 74分ワンカットで描く青春譚『アイスと雨音』 松居大悟監督とMOROHAのトークショーを特別公開!
  • 『最初で最後のキス』主演・リマウさんインタビュー 「この映画の良いところは、映画が観た人のものになるということ」
  • 『海を駆ける』深田晃司監督インタビュー後編 「いい映画とは、鏡のような映画」
  • 『海を駆ける』深田晃司監督インタビュー前編 深田監督が語る「演劇詐欺」とは?
おすすめの記事