『海を駆ける』という作品は、「言語化できないものを、あえてしなくていい映画なんじゃないか」

 

――ははは(笑)。すごく面白いです。というわけで、そろそろ今回の『海を駆ける』のお話しに戻ると。

 

深田:はい。

 

――実は、私がこの映画においてすごく象徴的だなと感じたことが、ちょうど先日の完成披露上映会の舞台挨拶で、太賀さんがお話しされていたことと同じだったんです。

 

深田:はい。

 

――試写会でこの映画を拝見した直後に、宣伝の方から感想を求められてお伝えしたのが、「言語化できないものを、あえてしなくていい映画なんじゃないか」ということだったんですね。観た後にすごくモヤモヤしたし、深田監督の過去の作品と比べると、もちろん根底に流れているものは同じなんですが、映画から受けた印象が、これまでと少し違うように感じたんです。

 

深田:お! そうなんですね。

 

――これまでの作品にも、もちろん難解なところがあるものの、自分なりに「この映画は、多分こういうことなんじゃないか」って咀嚼できた気がするんです。でも、今回の『海を駆ける』はそれが一切できないし、別にそれを求められていないんじゃないかと思って。不思議なラウの神秘性だったり、自然の脅威だったり、なんとなく感じ取れるものは、もちろんあるんですけれど。

 

深田:あぁ、はい。

 

――最近の世の中の風潮って、自分がよくわからないものを、「つまらない」という一言で片づけてしまう人が多いような気がするんですね。もっというと、わかりやすくかみ砕かれているものであっても、自分にとってもともと興味がないものや、接点がないもの対しては「つまらない」という判断をしてしまうようなことが、多いと思うんです。

 

深田:はい。

 

――でも、この『海を駆ける』という映画は、そういう世の中の風潮を、逆説的に描いているのかもしれないな……と、観終わって少し時間が経ってから感じたんです。

 

深田:なるほどね。その見方は恐ろしいですよね。

 

――え!?……(汗)

 

深田:「わからないから、つまらない」って言われた途端、シャットダウンになってしまうので、確かに不安なところではあるんですけれど……。

 

――いえ、あの、はい……。

 

深田:えぇっと……なんだろう、いままでの作品と今回どれだけ変えてきたのかというのは、自分としては意識できないし、むしろ観た人に判断して欲しいと思っているんです。

 

――はい。

 

深田:ただ、ラウというのは、やっぱりわからない存在なんです。基本的に、私たち人間にとって、この世の中ってわからないことだらけですよね。死んだ先に何があるかなんてわからないし、まぁ多分、何もないんだろうけど。でも、結局誰も経験したことがないから、わからないっていう。

 

――えぇ。

 

深田:そういう、自然に代表されるような、「わからないもの」を「わからないまま」描こうっていうのが、今回の作品のひとつの挑戦でもあって。

 

――はい。よくわかります。

 

深田:人がわからないものを見たときに、思うことは人それぞれじゃないですか。例えば、自然を見てスピリチュアルなものを感じたりとか、そこに対して自然のメカニズムを感じたりとか、幽霊を見たりとか。だから、その人それぞれの想像力を邪魔しないように、とにかく気を付けるっていうことを、心掛けて作ったつもりです。

 

 

インタビューは後編に続きます!

 

ディーン・フジオカさんの熱いファンの方々のことや、深田監督の映画へかける想いなど、たっぷりとお届けします!

 

■後編はこちら

 

(写真:加藤真大)

 

『海を駆ける』概要

 

『海を駆ける』

 

2018年5月26日(土)全国ロードショー

配給:日活 東京テアトル

 

 

【キャスト】

ディーン・フジオカ 太賀 阿部純子 アディパティ・ドルケン セカール・サリ 鶴田真由

【スタッフ】

監督・脚本・編集:深田晃司

企画制作:日活

 

公式サイト:http://umikake.jp/

 

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