5月26()より、現在公開されている深田晃司監督最新作『海を駆ける』。

 

SWAMP(スワンプ)では、先日行われた完成披露上映会のレポートに続き、深田晃司監督の単独インタビューを敢行! 後編では、ディーン・フジオカさんのファンの方々に関して、本作をはじめとする映画に対する深田監督の想いをお届けします。

 

■前編はこちら

ディーン・フジオカさんのファンは研究者?

 

――なるほど。いまの監督のお話しにも通じるんですが、舞台挨拶のときにディーンさんが「台本の1ページ目に書いてあった」と紹介された”宇宙には満足である、世界には不満である”という言葉だったり、「宇宙は、(自分がどう見たいかによって)自分次第で見え方が変わる」といった言葉が、ものすごく面白いなと感じたんですよね。

 

深田:はい。

 

――結局、そもそも映画も、そういうものだと思うんです。ディーンさんも「自分事として観て欲しい」と話されていましたが、私もまったくその通りだと思っていて。しかも、あの日のあの会場の熱気に、ものすごく圧倒されたんですね。

 

深田:エネルギーありましたねぇ(笑)。

 

――大雨にもかかわらず、通路まで観客があふれ返っていて。人が発するエネルギーのすごさを、久々に感じたというか……。しかも、会場の端っこの記者席で見ていて伝わってきたんですが、おそらくディーンさんご自身も客席との距離が近いこともあって、普段よりテンションが上がって、ものすごく沢山しゃべってくださったんじゃないかなって。きっとあの場の空気感って、ディーンさんにとってもこの映画にとっても、すごく作用しているものがあったような気がするんですよね。

 

 

深田:そうですね。ディーンさん自ら開口一番「映画では全裸で出ていますが、今日は服を着てきました!」って言っていましたからね。やっぱり、ちゃんとファン心理がわかっているな~って。

 

――深田監督には、ディーンさんの熱狂的なファンの方たちって、どんな風に映っているんですか?

 

深田:もともと自分はどの映画であっても、「この映画は誰に見てもらおう」とかっていうのは、あまり想定して作っていないんです。でも、今回は確かに『海を駆ける』にディーンさんが出てくれたことによって、自分の映画に興味を持ってくれる人の層が広がったなとは思っています。

 

――はい。

 

深田:これはほかの、いわゆるアイドル的な人気を持っている俳優さんのファンにも共通する傾向なのか、ディーンさんのファンならではなのかは、わからないんですけれど……いやぁ、研究熱心ですね。

 

――「研究熱心」とは?

 

深田:最近はもう「ディーンさんのファンって、研究者だな」って思っていて。

 

――え!? 「研究者」ですか……?

 

深田:「ディーン・フジオカっていう研究対象への探究心が半端ない研究者」みたいな感じで。

 

――へぇ~! 面白い!!

 

深田:まず今回『海を駆ける』の公開が発表された途端に、公式Twitterのフォロワー数が、わずか1時間くらいで300人くらいパーンって増えたんだけど、それからもコンスタントに増え続けていて、フォローしてくれた人のプロフィールを見てみると、みんなディーンさんのファンの方なんですね。

 

――フォロワーが、ディーンさんファンってことですね。

 

深田:そう。さらに去年「KAWASAKIしんゆり映画祭」で『淵に立つ』を上映したときに、ディーンさんのファンが何人か観に来てくれたんですよ。

 

――新百合ヶ丘まで。

 

深田:そう。で、「今度ディーンさんが主演する映画を撮っている監督の映画を観てきた」ってツイッターでつぶやいてくれるんですよ。

 

――ディーンさんが会場に来たわけでもないのに……!?

 

深田:もちろん! それどころかディーンさんは、その映画に出てもいないのに(笑)

 

――確かに、それはすごいですね。

 

深田:今度は「文學界」に小説版の『海を駆ける』が掲載されるって発表したら、発売後に「文學界」もちゃんと買って、「読みました!」ってリプライとかを結構送ってくれて。

 

――おぉ~。それは相当すごいことだと思います!

 

深田:本当にありがたいですよね。中でも一番衝撃的だったのは、「独立映画鍋」というNPOに参加していて、月に1回、勉強会をやっているんですけれど、この前ちょうど「大阪アジアン映画祭」と提携して、シンポジウムを開催したんですよ。

 

――はい。レポートを拝見しました。

 

深田:「映画の東京一極集中について考える」みたいな、超お堅い内容のシンポジウムで、ゲストも関西のミニシアターの支配人とかだったんですけれど、なんとそこにもディーンさんのファンが、駆け付けてくれたんですよ!

 

――えぇ~~!?

 

深田:しかもそのあと、ツイッターを介して「ああいう話、初めて聞きましたけど、勉強になりました」ってコメントまで送ってくれて、もう「研究者」だな!って(笑)。

 

(このエピソードに、取材に立ち会っていたSWAMP編集長からも、思わず「ディーン・フジオカ沼、凄いですね!」と感嘆の声が)

 

――まさかそこまでファンの方が熱心とは、思いもよりませんでした。素晴らしいですね。

 

深田:そうなんです。

 

――でも、ひょっとすると、ディーンさんご自身も、そういうタイプの方ですもんね。だからきっと、ファンの方々も、ディーンさんの美しい外見だけでなく、ディーンさんが考えていること、これからやろうとしていること、伝えようとしていることを「ちゃんと知りたい!」って思うのかもしれないですね。

 

深田:そうそう。ディーンさんのファンの方って、ディーンさんが香港や台湾でもグローバルに活動しているという生き方や、ディーンさん自身の背景にある文化とかもひっくるめて好きだから、視野が広いというか、興味の対象が広いんじゃないかっていう話を、昨日も「文學界」の方としていたんです。

 

――正直、ここまでの反響って、予想されていました?

 

深田:いや、まったく想定していなかったんです。そもそも、ディーンさんの生き方と、お姿がラウにピッタリだからオファーしただけなので(笑)。

 

 

■次ページ:いい映画とは、鏡のような映画

 

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