2008年にアメリカで実際に起きた「ラリー・キング殺人事件」に衝撃を受けたイヴァン・コトロネーオ監督が、事件を基に執筆した小説を映画化し、イタリアでスマッシュヒットを記録した『最初で最後のキス』が現在公開中。

 

イタリアの地方都市に暮らす、はみだし者の高校生3人の絆と、彼らを取り巻く過酷な現実を、レディー・ガガやMIKAらのヒットチューンにのせて、カラフルに描いた青春映画の新たな金字塔とも言える作品です。

 

日本公開にあわせ、主人公・ロレンツォ役を演じたリマウ・グリッロ・リッツベルガーさんが緊急来日するとの情報を聞きつけ、早速インタビューしてきました! イタリア語通訳は、岡本太郎さんです。

 

2000人のオーディションと、ロレンツォの「ポジティブ妄想」

 

――リマウさん、つい数時間前に日本に到着されたばかりですよね? 時差ボケは大丈夫ですか?

 

リマウ:はい! 日本に来られてすごく嬉しいんですが、今はちょっとだけ疲れています(笑)。

 

――お疲れのところ、取材に応じていただきありがとうございます。今回、リマウさんは初来日と伺ったので、歓迎の気持ちを込めて、ささやかなプレゼントをご用意しました。

 

リマウ:アリガトウ! 開けてみてもいいですか?

 

――どうぞ。これは、日本の「うちわ」というもので、暑いときに仰ぐために使います。アイドルのコンサートでファンが名前入りのうちわを作って、客席から振ったりする習慣もあるので、今回はリマウさんをイメージした漢字で「利馬有」と書いてみました。

 

 

リマウ:そうなんですね! 今夜、早速この文字を自分でも練習してみます。

 

――『最初で最後のキス』を拝見しましたが、本当に素晴らしい作品だと感じました。映画初出演とは思えないほど、リマウさん演じるロレンツォに釘付けでした。

 

リマウ:ありがとうございます。

 

――リマウさんがイケメンなのはもちろんのこと、この映画の世界観というか、まさに彼そのものを体現されていて、もうロレンツォそのもの! といった雰囲気でした。今回2000人の中からオーディションで抜擢されたそうですね。

 

 

リマウ:この映画に出る前は舞台の仕事をしていて、ぜひ映画に出てみたいと思っていたんです。その当時、僕はイタリア北部の小さな街に住んでいたんですが、ちょうどスポーツジムに行く途中、この映画のオーディションのビラを目にして「やってみようかな」と思って応募したところ、ロレンツォの役柄をもらえたんです。

 

――そうだったんですね。この役柄を、どうして演じてみたいと思われたんですか?

 

リマウ:このロレンツォという役柄は、自分にとって「演じる必要のあった役」だと思っています。つまり彼は、自分の気持ちを自由にしてくれる、気持ちを解放してくれる役であるということ。それは、演じる人間にとってもそうであるし、観る人にとっても、自分を解放してくれる役柄だと思うんですね。そういった意味で、演じるのがとても楽しかったし、素晴らしい役柄でした。

 

――なるほど。

 

リマウ:このロレンツォという青年は、イタリア社会における「ある責任」を背負わされている人物でもあると思うんです。だからそういったメッセージをちゃんと伝えることが出来たら……と思いながら演じていました。その役目が果たせているといいなと思っています。

 

――映画の中で、ロレンツォがポジティブな妄想に耽るシーンがとても印象的だったんですが、演じられたリマウさんご自身も「ポジティブ妄想」こそが彼を救う唯一の方法だったと思われますか?

 

リマウ:ロレンツォは里親夫婦のもとに行くまでは、施設に居たわけですよね。おそらくそこでは厳しい現実と向き合う必要がなかったんだと思うんです。だからこそ、新たな環境に身を置くにあたって、彼は自分なりの現実逃避の方法を考えたのではないでしょうか。

 

――たしかに、彼なりの対処方法だったのかもしれませんね。

 

リマウ:彼ら3人の中では、一番ロレンツォがポジティブな性格なんだと思います。彼らは皆、三者三様の現実逃避の仕方をするわけですよね。ロレンツォは想像力を使って現実逃避をするし、ブルーは25年後の自分に対して手紙を書く。そしてアントニオは亡くなったお兄さんの幻想を拠り所にしています。

 

――まさに三者三様ですね。

 

 

リマウ:はい。でも彼ら3人の間で友情が生まれて、それが続いている間は、その関係こそが彼らを救うことが出来ていた、とも言えると思います。

 

――なるほど。では、リマウさんご自身は辛いことがあった時、何を心の支えにしていますか?

 

リマウ:自分はブルーに一番近いかもしれません。でも、想像することによって現実逃避を図るところもあるから、もしかするとブルーとロレンツォの中間ぐらいかもしれないですね。僕自身、辛いことがあったときは「もっといい未来が待っている」と想像することもあります。

 

 

 

■次ページ:「一人ひとりが自分の物語をこの映画の中に見出すことが出来る、そういう映画だと思うんです」

 

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