7月7日(土)から公開中の映画『ルームロンダリング』。ヒロインの御子ちゃんを演じた池田エライザさんに続いて、本作で念願の長編監督デビューを果たした片桐健滋監督と、御子の叔父で、怪しげな不動産業を営む悟郎役を演じたオダギリジョーさんにインタビュー。

 

片桐監督がオダギリさんを「お兄ちゃん」と慕う理由から、『ルームロンダリング』の台本完成までの貴重なエピソード、果てはモノづくりの現場に必要なのは「嫌いな人が居ないこと」といった思わぬ打ち明け話まで、ディープなお話をたっぷりと伺ってきました。

 

片桐監督の第1作目『ルームロンダリング』ができるまで

 

――本作は「TSUTAYA CREATORS‘ PROGRAM FILM2015」 で準グランプリに選ばれたオリジナル作品ですよね。そもそもこの映画の企画は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

 

片桐健滋監督(以下、片桐):僕が最初に考えていたお話は、ほぼ「ワケあり物件」という題材のみで、応募する段階でプロットとして書けていたのは、「御子ちゃんと悟郎さんがワケあり物件に行きました。そしたらお化けが出てきました」といったあたりまで。そこから先は、企画が通ったあと書いていった、という感じなんですよね。

 

――監督ご自身のエピソードも投影されて。

 

片桐:そうですね。「お母さんを探す」というのが、この映画のテーマでもあるんですが、僕は父親を小さい頃に亡くしているので、「父親と話せたらいいな」という気持ちを、御子ちゃんに投影したという感じです。

 

――『ルームロンダリング』はオリジナル脚本ということもあり、独特の世界観に仕上がっています。オダギリさんはこの作品について、率直にどう感じられましたか?

 

オダギリジョー(以下、オダギリ):まずオリジナルの脚本であるということは、僕にとってはとても大切で。それ自体がもう既に好感触ですよね。しかも脚本を片桐さんと梅本(竜矢)くんという、昔からよく知っている方たちが手掛けている。特に梅本くんは、サッカー友だちでもあるんです。その2人が作り出した作品という意味でも、とても大切にしたいし、誠意をもって読まなきゃと思いましたね。

 

――「片桐監督が、いよいよ長編デビューするんだ!」という感じですか?

 

オダギリ:それもありましたね。台本を読んでみたら、オリジナリティのあるユニークな作品でしたし、すぐに映像が頭に浮かぶような、とても伝わりやすい台本だと思ったんです。僕自身、たまに自分でも台本を書いたりするので、その難しさがよくわかるんですよ。『ルームロンダリング』は、どこまで説明的に書いて、どこから(読み手に)想像させるのか、といったバランス感覚が絶妙で、すごくいい台本だったと思っています。

 

――実際に撮影に入られてみて、現場の雰囲気はいかがでしたか?

 

オダギリ:ひと昔前までは、新人監督がデビューする場合、年上のカメラマンから「映画はそんな撮り方しないんだよ」って怒鳴られるような、いわゆる「ベテランからの圧力」が必ず付きまとっていた、という話を耳にしたりするじゃないですか。今回の現場では、実際に有ったのか無かったのかは、僕にはわからないですけれど、無さそうだったんですよね(笑)。

 

――なるほど、表向きは(笑)。

 

一同:(笑い)

 

オダギリ:ええ(笑)。むしろ現場に居ても、スタッフ全員がこの作品をすごく好きだったのが伝わってくるし、すべてのスタッフが監督やこの作品のために、「自分は何が出来るのか」を一生懸命考えている。とてもポジティブな向き合い方をしていたので、本当に(長編監督)デビューの形として、素晴らしい現場だったんじゃないかなと思います。

 

――片桐監督は、いまのオダギリさんの発言を受けて、どのように思われますか?

 

片桐:語弊があるのかもしれないですけれど、映画制作に携わっている人は「性善説」であると信じているんです。こんなに儲からない仕事で、夜寝られない時もあったりするのに、ここまで頑張ってやっている人たちは、本当に映画が好きな人たちだと思うんです。その中でも、今回は生粋の「映画好き」が集まってくれて、みんなが誰かのために何かすることを楽しんでやってくれていたのが、何より嬉しかったですね。

 

――役者さんでは、オダギリさん扮する悟郎さんをはじめ、池田さん演じる御子ちゃんも、渋川清彦さん演じる津軽弁のパンクスの公比古も、本当に皆さんハマり役だと感じました。

 

 

片桐:監督第1作目にして、自分が仕事をしたいと思った俳優さんと一緒に映画を作れることって、滅多にないことだと思っています。僕がオダギリさんと初めてお会いしたのは崔洋一監督の『血と骨』(2004年公開)という作品で、渋川さんとは、確か中村義洋監督の『ゴールデンスランバー』(2010年公開)の現場が最初だったと思うんですが、当時一緒に仕事をしていたスタッフの人たちも、本作に参加してくれているんです※1。

 

一緒に仕事がしたいスタッフと、映画に出てもらいたかった俳優さんと1作目が出来たことの幸せというものは、撮影しながら日々感じていましたね。「これ、15日で撮らないとダメなんだよな」というプレッシャーは、常にあったんですが(笑)。

 

※1 片桐監督は、崔監督や中村監督の助監督を務められていた。

 

オダギリ:えぇ!?  15日?

 

――約2週間で撮影されたということですか?

 

片桐:はい。2週間です。

 

 

■次ページ:「嫌いな人」が現場に居ないことの大事さ

 

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