tofubeatsさんの音楽と仲本工事さん

 

――そういった意味では、tofubeatsさんが音楽を手掛けられているというのも、この映画にとってかなり重要な役割を果たしているような気がするんです。特にエンディングに流れる「RIVER」の歌詞があまりにもこの映画の世界観とマッチしていたことで、どっぷりと浸ってしまって。上映後しばらく椅子から立ち上がれませんでした。

 

濱口:今回は「映画音楽を入れる」ということ自体は最初から決まっていたんですが、どんな音楽にするかによって映画の印象が全然変わってしまうので、作曲家選びにはかなり慎重になっていたんです。そんな時、アシスタントプロデューサーが「tofubeatsさんはどうですか?」と提案してくれて。以前神戸でお会いしてお話ししたこともあったし、彼が優秀なトラックメーカーであることは明らかだったので「tofubeatsさんがやって下さるなら」ということで決まったんです。撮影が始まってわずか1週間後くらいのタイミングで主題歌の「RIVER」が上がってきたんですが、本当にこの映画に寄り添ったものを作っていただいたので、「ここに向かってラストシーンを作っていこう」という感じでしたね。

 

――ラストシーンを撮る前に、もうあの曲が完成していたんですか!?

 

濱口:そうなんです。あの曲がラストに流れるんだと思えば、何でも出来るなみたいな(笑)。

 

――では、ある意味でミュージックビデオ的な要素もあるというか。曲に引っ張られる部分もあったということなんですね。

 

濱口:そうです。

 

 

――また、本作には仲本工事さんが出演されていますよね。私、最初に観たとき仲本さんだと気づかなくて。エンディングロールで「あ! やっぱり」と確認したくらいでした。

 

濱口:そういった声が続出しているんですよ。

 

――仲本さんといえば、眼鏡のイメージが強いので。どうやって仲本さんに眼鏡をはずしてもらったのかなぁと。

 

濱口:衣装合わせの際に思い切って「眼鏡はずしていただいてもいいですか?」って聞いてみたら「うん、はずす」って言って下さって。

 

――意外と、すんなり(笑)。

 

濱口:そう、すんなりいきました(笑)。

 

――そもそも仲本さんを起用された理由は?

 

濱口:プロデューサーが、仲本さんがやっていらっしゃるお店に飲みに行ったことがきっかけでした。カウンターの中に仲本さんがいるのに、全然気づかなかったというエピソードがありまして(笑)。そこから「仲本さんどうですか?」という流れになり、最終的に素晴らしいキャスティングに繋がりました。

 

――そうだったんですね。絶妙なキャスティングだと思います。仲本さんだとわかってから観直しても、半信半疑になるくらい(笑)。

 

濱口:さんざんドリフで仲本さんの顔を見て育った世代のはずなのに(笑)。方言指導の先生が言うには、仲本さんはすごく東北の方言が上手だったらしいです。

 

――さすがミュージシャンですね!

 

 

■次ページ:もう一度「映画の力」を信じて自分で映画を作り始められたきっかけ

 

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