自殺防止活動に取り組む岐阜県関市の「大禅寺」住職・根本一徹さんを映し出したドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸』が、本日9月8日(土)より公開。東京・ポレポレ東中野で行われた初日舞台挨拶には、先日SWAMP(スワンプ)でもインタビューさせて頂いた根本一徹さんご本人が登壇されました。

 

 

本作の監督であるラナ・ウィルソンさんも、根本さんのもとで「旅だち」と呼ばれる模擬葬儀のワークショップを体験。そのときに涙を流したというラナ監督は、映画にしたいという想いを根本さんに伝えて、三年半という年月をかけて完成させたのが本作『いのちの深呼吸』です。

 

根本さんは「生きていく上で、楽しいこともあれば辛いことも、いろいろある人生。そういうことが積み重なっていって、それぞれの人生の味になってくるんじゃないかなと思っています。皆さんは主人公ですので、辛い時や苦しい時もありますが、それを乗り越えないのは勿体無いです。過去にとらわれないように、ありのままのびのびと生きていければいいかなと思っています」と話されます。

 

「旅だち」のワークショップは、大切にしている人を3人、大切なものを3つ、大切な思い出や気持ちなどを3つ、やってみたいこと(やり残したこと)を3つずつ挙げて、それを1つ1つ失っていくというもの。そのシナリオの主人公となって、どんどん大切なものを失っていって最後に残るものは何なのか? 順位をつけていくことで、今後の人生の羅針盤となるものに気づくことができると、根本さんから語られました。

 

「どうしても生きていく上で、いろんな電子機器をフル活用しても情報に追いつくのが大変という時代において、何かを削っていくことってすごく難しいと思うんです。そうして残った大切なものは、意外に身近なものであることに気づいていきます。それを見つけることで、もう一度生き直しができるんじゃないかなということでやっています」

 

 

「どこから来てどこへ行くのかーー。そういったものを何とか見つけて行こうという姿勢が、もしかしたら生きる命の尊さなのかなと思います」と話される根本さん。映画の中で出て来た方たちのその後についても紹介され、がんを患っていた女性は亡くなってしまうまでの間、「旅だち」のワークショップで行っていたことをそのまま実践されたそう。幻覚や幻聴に苛まれていた女性は、結婚されて今では症状もなくなったとのこと。

 

「辛い時期に一緒に悩むことができる仲間がいるだけで、乗り越えて転じることができます。真剣にまじめに生きていこうとすると、いろんな問題にぶつかります。頂いた命をどう磨いて行くか。自分がどこに向かって行くのかーー。「心」という字は、中に入ったり外にいったりパラパラと移り変わっていくヘンな字です。そんな心を磨くことが大事だと修行中に叩き込まれました。負の思考の無限増殖になってしまうと、見えるものも見えなくなってしまう。餅を100個食べても胃袋に穴が空きませんが、心が曇ってくると簡単に穴が開いてしまうので、心を侮ってはいけないのです」

 

 

最後に根本さんから、そんな「心」との向き合い方についてのお話が。

 

「人と接する時は春のように暖かい心で。仕事をする時は夏のような燃える心で。ものを考える時は秋のように澄んだ心で。自分に向かう時は、冬のように厳しい心で。季節を重ねて行って、喜び悲しみ苦しみいろんなものがありますが、そういった心のモザイク模様がその人の味になっていきます」

 

普段はなかなか人に話せない心の悩み。誰にでもある問題だからこそ、自らの心、そして他人の心に少しでも寄り添って生きていきたいですね。「まわりの人にもいのちの話をしてもらえらと思います。そういう話をしていくと、自分のことを話せる関係性を築いていけます」と観客の方へ話された根本さん。『いのちの深呼吸』という映画をきっかけに、そんないのちの話を誰かと、そして自分自身としてみてください。

 

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■『いのちの深呼吸』根本一徹さんインタビュー 自殺防止活動の原点は、ハンバーガー店での「棚を揺さぶる日々」

 

『いのちの深呼吸』概要

 

タイトル:『いのちの深呼吸』

9月8日(土)よりポレポレ東中野にて公開!

 

登場人物:根本一徹
監督・製作:ラナ・ウィルソン
挿入曲:クリスチャン・フェネス+坂本龍一、他
推薦:厚生労働省 後援:日本自殺予防学会
2017年/アメリカ/日本語/デジタル/87分/配給パンドラ

 

 

公式サイト:いのちの深呼吸com

 

 

(C) DRIFTING CLOUD PRODUCTIONS, LLC 2017

 

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