
2016年に46歳の若さで急逝したマンガ家・小路啓之さんによる同名コミックを、千原ジュニアさん主演で熊澤尚人監督が映画化した『ごっこ』が、10月20日(土)から全国順次公開されています。
引きこもりのニートである主人公・城宮が、親から虐待を受けていると思われる5歳の幼女を誘拐し、「パパやん」と「ヨヨ子」として大阪の寂れた商店街で仲睦まじく暮らすという、訳ありの「ごっこ生活」を描いた問題作です。このたびSWAMP(スワンプ)では、主演を務めた千原ジュニアさんにインタビューを敢行。普段のバラエティではなかなか覗けない「役者・千原ジュニア」の顔に迫りました。
役者としての千原ジュニアさんの顔
――本日はあえて役者としての千原ジュニアさんに伺いたいのですが、『ごっこ』で見せたあの鬼気迫る城宮の表情は、いったいどのようにして生まれたのでしょうか?
千原ジュニア(以下、千原):ほぼ順撮りだったこともあって、その流れで自然に出てきた部分はありますね。「あのシーンをいきなり最初にやってください」とか、途中で「今日あそこを撮影します」って言われていたら、もしかするとやりにくかったかもしれないですけど。
――「泣く」という表現一つとってもいろいろあると思うのですが、千原さんがあのように表現された理由とは?
千原:台本を読んで、「こういう感じかな」というのを、まずは自分の好きなように動かさしてもらって、それが違った場合には監督さんから「違う!」って言われるだろうし、何も言われなかったら「あぁ、これでいいのかな」くらいな感じでずっとやっていたんです。あのシーンだけ特別何かをしたというわけでもなく、そのままやらせていただいた感じですね。だから、僕の芝居が「あまりよくない」と思われた方がいらしたとしたら、それは僕じゃなく、監督が悪いということです。僕にOKを出す監督に、すべての責任があるわけだから(笑)。
――あはは(笑)。本作では引きこもりの中年男性の城宮というキャラクターを演じていらっしゃいますが、千原さんご自身もかつて引きこもっていた経験があると自伝にも書かれていますよね。本作のオファーを受けられたとき、過去の体験が役柄に活かせる部分があると感じましたか?
千原:というよりは、多分キャスティングされた方が僕のそういう経歴を知った上で選ばれたのかなって、何となく思いましたけどね。
――もちろん役を演じることと、ご自身の体験を思い出すこととは全く別のお話だとは思うのですが、どこかで城宮という男に共感できる部分もありましたか?
千原:城宮が引きこもりであるということよりも、彼が衝動的に行動してしまうことの方が共感できるというか、自分に近いような気がしましたね。僕自身、結構大きな決断を衝動的に行動してしまったりするので。
――千原さんにとって役者の仕事は、ほかのお仕事と具体的にどんな風に違うのでしょうか?
千原:僕らみたいな一発勝負の舞台で育ってきた人間って、バラエティの現場でも「本番ではリハーサルとは違うことを言え!」っていうような世界で生きているんです。リハーサルから何度も同じことを積み重ねて、「徐々に点数を上げていけ」っていう役者の仕事は、自分にとっては普段あり得ないことだから、やっぱり刺激的ですよね。
――バラエティに出ている千原さんしか見たことがない人たちは、『ごっこ』で千原さんの演技を目の当たりにしたら、きっとものすごく衝撃を受ける気がします。
千原:もちろん本人ですから、自分の中では両方とも繋がっているんですけど、見たことない人にとっては、まぁそうなるでしょうね。