『ポルノスター』から『ごっこ』まで

 

――実は先日、『泣き虫しょったんの奇跡』の監督でもある豊田利晃監督のデビュー20周年を記念した写真展に行ったんです。会場には、千原さんの記念すべき俳優デビュー作とも言える『ポルノスター』のスチールや衣裳も展示されていましたよね。千原さんも足を運ばれたそうですが、ご自身としても撮影当時を思い出して懐かしい気持ちになったりしましたか?

 

千原:そうですね。『ポルノスター』で映画の世界を初めて見せてもらったかなという感覚はあります。

 

――千原さんの著書『3月30日』にも、当時ライターだった豊田監督と密着取材を通じて仲良くなり、「いつかお前を主演に映画を撮る!」と豊田監督が宣言されて実現したのが『ポルノスター』だったというエピソードが書かれていますよね。豊田監督もデビュー20年目となる節目で『泣き虫しょったんの奇跡』が現在劇場公開されていますが、こうして千原さん主演の映画『ごっこ』もほぼ同時期に劇場で上映されるというのは、なかなか感慨深い気がします。

 

千原:『ポルノスター』を観て僕の存在を知った人が映画業界には多いという話も聞くので、確かにそういう部分はありますね。瀬々敬久監督もあの映画を観て『HYSTERIC』の主演に声をかけてくださったという経緯もあるので。『泣き虫しょったんの奇跡』にも、本当は出たかったんですよ。結局スケジュールが合わなくて出られなかったんですけど。

 

――そうだったんですね。千原さんは芸人としての活動以外にも、コラムやエッセイの執筆や落語など、常に新しいことに挑戦されています。その中でも「役者」という肩書は、今後も大きな軸の一つになりそうですか?

 

千原:そうですね。声をかけていただけたら、いろんなところにお邪魔したいなとは思いますね。やっぱり、バラエティの現場だけでは出会えない人たちと一緒にお仕事させてもらうと、普段なかなか見えない景色が見られたりもするので。

 

――ご結婚されて父親にもなられて、それこそ「ジャックナイフ」と呼ばれていた時代から、千原さんご自身のイメージも変わってきている中で、役者としてはいまでも尖った部分が求められているわけですよね。とはいえ『ポルノスター』や『HYSTERIC』の時とは、役を演じる上での取り組み方が変化している部分もあったりするのでしょうか。

 

千原:いや、そこは一緒ですけどね。観ている人のことを考えてお芝居するということはないですからね。

 

――そうなんですね。

 

千原:お笑いは「これはちょっとわかりにくいかな」とか「これをやるより、こっちの方がええな」とか、観ている人のことを常に考えながら、作ったりやったりしますけど、映画の場合は台本を読ませていただいて、自分の感じたように動かさせてもらって、監督がそれを見て判断するってだけですから。「これを観ている人はこう思うだろうから、こっちに動いた方がええな」みたいなことは、お芝居をしている時には一切考えてないです。だからこの映画を観て「この主人公のことが本当に嫌い」っていう人が現れたとしても、「あぁ、そうですか」っていうことでしかないし。

 

――千原さんって、「小さい頃からやたらと細かいことが気になって仕方なかった」そうですが、そういう意味では「演じているときだけは自意識から解放されている」みたいなところもあったりしますか?

 

千原:確かにそういう部分はあるかもしれないです。お芝居しているときは、自分じゃないわけですからね。

 


 

『ポルノスター』からちょうど20年目となる節目で、再び千原さんが主演を務める『ごっこ』が公開されるにあたり、ご自身にとっての芸人・千原ジュニアと役者・千原ジュニアの違いについて、じっくりお話を伺うことが出来ました。まるで何かが憑依したかのような迫力を放つ千原さん演じる「パパやん」と、「超大型新人女優」と千原さんも絶賛する「ヨヨ子」こと、平尾菜々花さんの迫真の名演技を、ぜひスクリーンで目の当たりにしてください。

 

(写真:加藤真大)

『ごっこ』概要

 

『ごっこ』

10月20日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー

 

配給:パル企画

 

公式サイト:http://gokko-movie.jp/

 

 

©小路啓之/集英社 © 2017楽映舎/タイムズ イン/WAJA

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