
出演された首くくり栲象さんと松たか子さんのエピソード
——山下監督が手掛けたドラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』にも出演されていた首くくり栲象(くびくくりたくぞう)さんも、本作で重要な役柄を務めていますね。緊張感あふれる場面なのに、つい笑いも起きてしまうという。
山下:栲象さんご自身は、めちゃくちゃ真面目な方なんです。カメラもセッティングしていない時から既に殺陣の稽古を全力でやっていて……。
荒川:本番前に本気でやりすぎて、疲れてキレが悪くなっちゃって。「軽い刀に交換しましょう」って(笑)。
山下:ペース配分が出来ないからね。映画冒頭の街頭演説シーンも、本当はもっと長くて1分半くらいあるんですけど、何を言っているのか一言も聞き取れないんですよ。
——ははは(笑)。
山下:でも、笑えるのになぜかすっごくかっこよく見えてきて、ちょっと感動するんですよ! 録音部からも「監督、何言ってるのか全くわかんないです」って言われたんですが、「いや、これで大丈夫です!」「会頭に言葉はいりません。思いだけで十分です」って答えたくらい。
荒川:大事なことは、全部旗に書いてありますからね(笑)。
山下:そう、気になるなら「それを読んでくれ!」って。
——松たか子さんが、カラオケバーでLINDBERG(リンドバーグ)の曲を熱唱するシーンにも度肝を抜かれました。
山下:まさか松さんが本当に出てくださるとは思わなかったので、こういう形で松さんと出会って良かったのかわからないんですが、なんとなく「こんな松さん、嫌だな」と思うことをあえてやっていただきました。松さんは「私って、1人で飲みに行くような女性に見えますか?」って、かなり不安がっていましたけどね(笑)。
——では最後に。山下監督が荒川さんと再びタッグを組むとしたら、今度はどんな役をオファーしますか?
山下:今回の牛山で「無口な荒川さん」の一面は最大限に引き出せたと思っているので、次はちゃんとしゃべるキャラクターで出て欲しいですね。
荒川:早口で3ページくらいの長いセリフをしゃべる数学者の役とかね。僕、絶対覚えられないですけど(笑)。
インタビュー開始前から、「せっかくだから『ハード・コア』のTシャツに着替えよう!」「あ! でも壁の色が白だと映えないかな」と控室とスタジオを行ったり来たりしながら準備してくださった荒川さんと、それを楽しそうに眺める山下監督。ともに『ハード・コア』を愛するお2人の口から語られる、撮影現場のハードコアっぷりに終始笑いっぱなしの取材でした。
本編はもちろん、DVD発売時に収録されるであろうメイキング映像も必見であることが判明。先日開催された第31回東京国際映画祭では、山下監督がロボオとともにレッドカーペットを歩き、上映時の舞台挨拶にもロボオが登壇するなど、大いに注目を集めていました。日本アカデミー賞の式典会場でも、ロボオの勇姿が見られることを期待しています!
『ハード・コア』概要
『ハード・コア』
11月23日(金・祝) 全国公開
山田孝之 佐藤 健 荒川良々 石橋けい 首くくり栲象 康すおん / 松たか子
監督:山下敦弘 脚本:向井康介 原作:狩撫麻礼・いましろたかし「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」(ビームコミックス/KADOKAWA 刊) 音楽:Ovall(Shingo Suzuki mabanua 関口シンゴ) エンディングテーマ:Ovall feat. Gotch 「なだらかな夜」(origami PRODUCTIONS)
配給:KADOKAWA 制作プロダクション:マッチポイント
公式サイト:http://hardcore-movie.jp/
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