シングルマザーのクレアのもとで自宅教育を受けていたリアムが、はじめて行った公立高校ではじめての恋に落ちるーー。そんなハートウォームコメディを手がけたのは、本作が長編映画2作目となるカイル・ライドアウト監督です。4月27日(土)の公開にさきがけて、2月5日(火)には『リアム16歳、はじめての学校』のトークショー付き一般試写会が開催。映画評論家の森直人さんとの対談形式で、本作で描かれる自宅教育について、そして日本ではあまり馴染みの薄いカナダ映画に関してもカイル監督がユーモアたっぷりに語られました!

 

▲カイル・ライドアウト監督

 

「とくにホームスクーリング(自宅教育)のドキュメンタリーを作りたいというわけではなかったんだ。僕が描きたかったのは、母のクレアと息子・リアムの関係性。母親が息子にとってのベストフレンドだという関係性は映画でもなかなか見られないから、それを描いたら楽しいかなと思ってそういう設定にしたんだよ」と語るカイル監督。それに対して「カナダではホームスクーリングやそういう関係性は珍しいの?」と森さんから質問が。この質問には「そうだね。今すごく増えているから、カナダでは学校を閉鎖しようという動きがあるんだ」とユーモアたっぷりに切り返すカイル監督(もちろん冗談)。

 

「日本では友だち親子という関係性があり、とくに母親と息子が仲がいいケースがあります。アメリカで多いホームスクーリングに相当するものとして『お受験』が1つあって、塾や私立の学校に通わせることで家庭と教育が密接になっています」と、本作と日本の関連性を解説していく森さん。カイル監督も「(日本の)塾のことは知っているよ。日本の親たちと同じように、クレアは公立学校の教育では満足できないから、(リアムを)ホームスクーリングで学ばせているんだ」と言います。

 

クレアのキャラクターに関しては「バンクーバーにいた親たちを見て思いついたんだ。子どもの上をずっと旋回して監視している『ヘリコプターペアレント』って言うんだけどね。僕にも娘が居るからリアムの気持ちもわかるし、母親のクレアの気持ちもわかるんだ。だから自分のいろいろな一部分が、この映画のキャラクターに投影されていると思う。あと共同脚本(兼プロデューサー)のジョシュ・エプスタインの経験も散りばめられているよ」と語られます。日本では「ヘリコプターペアレント」ならぬ「モンスターペアレント」という単語を耳にして久しいですが、向こうでも言葉の意味する印象としてはネガティブとのこと。そして本作の本質的なことにも言及。

 

 

カイル監督:みんな心は16歳だと思うんだ。クレアは人生に失敗していて、子どもにその失敗をさせないようにと自分の後悔を取り戻しているんだよ。この映画では説教くさいことを言いたいわけじゃなくて、観た人それぞれが成長していくリアムだったりクレアに共感して、結論を出してもらえたらいいんだ。欧米ではここまで親子が近い存在なのは普通じゃないんだけど、僕もシングルマザーの家庭で育ったこともあって、こういう映画を描きたかったんだ。

 

ちなみに、カイル監督はご自身で受けた職業適性テストの結果として、こんなユーモラスなお話も。

 

カイル監督:一番の適職は操り人形師だって出たんだけど、それが嫌でもう1度回答して1番・監督、2番俳優って出るようにしたんだよ。そのうえで、初めてその結果が出たように驚いて見せたんだ(笑)。その結果通り(?)現在は監督だけではなく俳優としても活躍しているので、有言実行ということですね!

 

さらに、リアムを演じているダニエル・ドエニーさんと、カイル監督はかつてシェイクスピアの『真夏の夜の夢』で同じ舞台に立ったことがあるとのこと。「リアム役に合うと思ってダニエルにオーディションへ来てもらったら、オドオド感とかが本当にピッタリだったんだ。(クレア役の)ジュディ(・グリア)は、ダニエルが初めての映画出演と聞いて心配していたんだけど、撮影初日からウマがピッタリ合って、今も連絡を取り合っているんだ」ということで、役柄どおりの関係性であることも明らかに。

 

会場の観客からのQ&Aでは、こんな質問も。

 

Q:日本ではなかなかカナダ映画の印象がなくて、以前ほかのカナダ人監督に聞いたところ「隣国にハリウッドがあるからどうしても個性を出したいんだ」という答えが返ってきました。カイル監督にもアンチハリウッド的な気持ちはありましたか?

 

カイル監督:全然ないよ。いま(次回作となる)ハリウッド映画の脚本を書いているしね。

 

この質問には森さんからも追加で深掘り。「カナダにはデヴィッド・クローネンバーグ監督など素晴らしい監督がいますが、地元・カナダとハリウッドを行き来して映画を制作している人が多いイメージがあります」という質問には「ハリウッドにはリスクも多いから、そうする人もいるんだ。いま書いている脚本も10人以上の会議でいろいろなことを言われるから、イライラしちゃう人もいるよね。でも僕はそんなに大勢の意見を聞けるのが面白いから、楽しんで楽天的にやっているんだよ」と回答されるカイル監督。楽しさや面白さを大事にするカイル監督らしさが詰まっていますね。

 

 

というところで、トークショーはフォトセッションのお時間となり、森さんと一緒に撮影……というのが通常の流れですが、ここからカイル監督がサービス精神を爆裂!

 

 

パネルの前でポーズをキメまくり、最後にはさながらアイドルのように座ってのポージング。自身も俳優として出演されている『デットプール』さながらのフォトセッションとなりました。

 

そんなカイル監督にSWAMP(スワンプ)は単独インタビューを敢行! 映画公開前に記事をお届け予定なので、そちらもぜひお楽しみに!

 

『リアム16歳、はじめての学校』概要

 

『リアム16歳、はじめての学校』
4月27日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開

2017|カナダ|英語|ビスタサイズ|カラー|5.1ch|86分|原題:Adventures in Public School
日本語字幕:中沢志乃|後援:カナダ大使館|配給・宣伝:エスパース・サロウ|PG12

 

公式サイト:https://liam-hajimete.espace-sarou.com/

 

 

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