監督っていうのは、「みんなに愛情を降り注ぐ係」

 

――先程のトークで大森監督が「クランクインの日はどんなベテランの役者も緊張する」とお話されていたのが印象的でした。「最終的には監督の自分が責任を持つからどうぞ自由にやってください」という環境を、監督はご自分で作るともおっしゃっていましたが、それはご自身も役者の経験があるからこそ、より役者の気持ちがわかるということですか?

 

大森:いつもそうですね。というか、結局映画の現場にいるスタッフなんていうのは、みんなクズばっかりなんですよ(笑)。もちろんクズっていうのは、良い意味で言っているんですけど、みんなものすごく愛情を求めている人たちばかりなんですよ。

 

――愛情を……?

 

大森:つまり監督っていうのは、「みんなに愛情を降り注ぐ係」みたいな感じなんです。

 

――「お母さん」みたいな感じですか?

 

 

大森:それはよくわかんないですけど(笑)。でもね、主役をやるとまた変わるんです。主役をやる俳優さんていうのは、今度は自分からほかの俳優さんたちを愛していかなければいけないから。

 

――なるほど!

 

大森:いつも俳優さんを演出するときに「先に愛せばいいじゃん!」って言っているんです。それができるようになると、その俳優はすごくいい俳優になるんですよ。

 

――いい俳優とは?

 

大森:いわゆる「普通の人間関係」のままやっていると、大事なことが言い出せなかったりもするんだけど、自分が勝手に愛していると思えば好きなことを言えるし、相手にとってもキツいところまで踏み込めるんですよ。俺が「映画」で観たいのは、まさにその瞬間なんです。だから倍賞(美津子)さんが「この組はすごく面白い」って言ってくれているのは、きっとそういう匂いを感じてくれているからだと思うんですよ。

 

宮川:僕もマンガを全く同じ思いで描いているので、いまのコメントは2人共通の発言ということにしておいてください!

 

一同:(笑い)

 

大森:それじゃあ、2人同時に喋りだしたってことで(笑)。

 


 

映画とマンガそれぞれの創作論が盛り上がりを見せる中、インタビューは後編に続きます!

 

■後編はこちら

 

(取材・文:渡邊玲子、写真:加藤真大)

 

『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』概要

『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』

安田 顕 松下奈緒 村上 淳 石橋蓮司 倍賞美津子

監督・脚本:大森立嗣

原作:宮川サトシ「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」 (新潮社刊)

音楽:大友良英 主題歌:BEGIN「君の歌はワルツ」(テイチクエンタテインメント/インベリアルレコード)

配給:アスミック・エース 製作:「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金 2019 /日本/カラー/ビスタ/5.1ch/108

 

 

公式HP:http://bokuiko-movie.asmik-ace.co.jp/

 

 

©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

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